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お知らせ 食物栄養学科

【食物栄養学科】実験実習紹介② 2年次後期「微生物学」

 

  微生物学では、栄養士・管理栄養士や食品研究者等にとって重要な微生物に関する基礎知識を学びます。具体的には、微生物学の歴史、微生物の分類、微生物の細胞構造、殺菌・滅菌法、細菌の増殖・代謝・遺伝、遺伝子組み換え技術、食品微生物、発酵、感染症・病原微生物、腸内細菌や免疫学等について学修します。微生物学は食品衛生監視員・食品衛生管理者やフードサイエンティストの必須科目となっています。

 

 今回の授業では、「細菌の形質転換」について実験を行いました。微生物学の授業は基本的には座学なのですが、15回の授業の中で1回だけ実験を行っています。この授業の前に形質転換や遺伝子組み換え技術について学修しており、「細菌の形質転換」実験にはそれらに対する理解を深める目的があります。この実験を行うにあたっては、文部科学省研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室が作成した「高等学校などで遺伝子組換え実験を行う皆様へ」を用いて遺伝子組み換え実験のルールなどについて説明しました。

 

今回の実験では、大腸菌のcompetent cell(塩化カルシウム処理によってDNAを取り込みやすくした大腸菌)にアンピシリン(抗生物質の一種)耐性遺伝子を有するDNA(プラスミド)をヒートショックにより導入しました。もともとの大腸菌はアンピシリンが存在すると増殖できません。しかし、アンピシリン耐性遺伝子を有するプラスミドを取り込んだ大腸菌(形質転換菌)はアンピシリンを含む培地でも増殖することができる薬剤耐性菌となっているため、アンピシリンを含む培地上で培養することで容易に識別できます。

 

37℃で一晩培養した結果、形質転換に成功したことがわかりました。授業で形質転換について説明を受けていてもなかなか実感は湧きにくいものですが、「百聞は一見に如かず」です。実際に体験することにより、よりいっそう理解が深まったことと思います。形質転換の原理や得られた実験結果について、調べ学習やレポートの考察等で振り返り、今後の学修にも活かしていきます。

 

大腸菌にプラスミド溶液を加えます。42℃でヒートショックを与えます。
大腸菌を培地に播きます。一晩37℃で培養します。左のシャーレはプラスミドなし、右のシャーレは
プラスミドありのものです。プラスミドを添加した
場合のみで大腸菌(形質転換によりアンピシリン
耐性を獲得)のコロニーが確認できました。

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