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【尚絅子育て研究センター】第16回 公開シンポジウムを開催しました!

7月30日(土)

 暑中お見舞い申し上げます。みな様、いかがお過ごしでしょうか。

 尚絅子育て研究センターでは、7月30日(土)に第16回公開シンポジウムを開催しました。今回は、『子どもの発達と遊び~子どもにとってそもそも遊びとは何か?~』というテーマで、京都教育大学幼児教育科 教授 加用文男先生にご講演いただきました。保育制度が目まぐるしく変化していく中で、「これまで保育現場で積み上げられてきたものを失うことのないように…」という願いをもって、「今、遊びの保育に求められるもの」についてお話し下さいました。

 まず、一つ目。「遊びの本質はノリであって、それは○○遊びの時間というだけでなく、保育の様々な場面の、局面、局面で追求されるもの」として、とくに乳幼児期の子どもたちにとっては「食べるということ、おいしいということ、食べる時間というものを最重要に考えなければならない」とお話いただきました。

 二つ目は、「パワー」。加用先生は、保育における「金剛力パワー」と名付けているそうですが、その本質は、「子どもを抵抗性のある主体と見なして、それを愉快がるような人間観」です。これは、震災を乗り越えている子どもたちの中にも備わっているパワーではないかと感じました。

 三つ目は、「妖しさ(怪しさ)」です。加用先生曰く、妖しさとは、「探究心」に「魅入られる」ということが加わった状態のことだそうです。ごっこ遊びや泥団子はもちろん、とりわけ「散歩は必須アイテム」と強調していました。それは、「子どもたちと自然的なものとのふれ合いを大切にしてほしい」という願いも込められているように感じました。

 そして、最後に加用さんは、「子どもたちみんなが、気兼ねなく自分自身を出して、安楽に過ごせる日々を送れるように保育をつくっていくこと」、つまり「保育は、安楽さの追求である」と語っていました。「それは、保護者にとっても、職員にとっても、そうであるような園であること…」。さらに、「子どもたちは成長途上にある活力存在なので、ただ問題なく過ごしているだけでは本当の安楽さは味わえない。子どもたちの活力を十分に生かす毎日が求められる」と、「安楽の追求は、発達保障と表裏一対の関係」にあることも述べていました。グッときました!保育は、奥が深い!!

 シンポジウムでは、坪井幼稚園の釜﨑美奈先生と山都町立浜町保育園の平田洋介先生にお越しいただき、各園での遊びの実践をご紹介いただきました。お二人とも、子どもたちと泥んこになりながら、日々実践していらっしゃる保育者です。

 坪井幼稚園では、自然の素材を使った遊びを通して、子どもの「こころ」と「からだ」を育んでいます。ダンゴ虫探し、ままごと、泥団子づくり、どろんこ遊び、お散歩(園外保育)などなど、毎日、子どもたちが「遊びほうける」時間をたっぷりと保障することによって、「子どもたち自ら知恵を働かせ遊びを創り出す主人公になっていく」姿をお話しいただきました。そして、「遊びの中で学んだ知恵は、子どもから子どもへ受け継がれていき、人と人とのつながりへ発展していく」というしめくくりの言葉には、「遊び」から広がる様々な要素の重要な部分を教えていただいたように思います。

 浜町保育園では、山都町立保育園全体の目標として「子どもの姿から保育を創る」ということを大切にし、日々の「暮らし」と「遊び」を通して保育を行っています。畑を耕し、収穫したものをすぐにクッキングする取り組みや、山に入り山菜や木の実を採取してはまたクッキングし、「驚きと発見」を体験しながら「科学の芽」を育てているそうです。「何よりも、楽しくて美味しくて、自分と友だちとするからこそ、喜びがあり、子どもたちの「記憶」に残っていく」。この平田先生の言葉は、まさに集団づくりそのものです。そして、山遊びは、ちょっと「危ない」ところにも行くことで、子どもたち同士の仲間意識が強くなり、クラスの絆も深まっていく。そのような一連の「暮らし」と「遊び」の体験をたくさん積んでいくことが集団的な子どもの育ちになっているのだとお話いただきました。平田先生のこれまでの実践的な裏付けから、「なるほど!」とうなずけることばかりでした。

 お二人とも、「自主的に行動できるこども」「主体的に自分の人生を生きていく子ども」を育てたいという願いは共通しており、私たちも意見交換をする中で子どもたちの育ちへの願いを共有できたように思いました。会場の皆さんと終始、笑いの絶えない講演会・シンポジウムであったと思います。と同時に、心の中に「保育とは何か?子どもにとって遊びとは何か?という問いが未だに余韻として残っています。みなさんと心を寄せ合えた楽しい会となったこと、心より感謝申し上げます。お忙しい中をご参加いただき、誠にありがとうございました!!(文責:増淵千保美)

20160730-1学科長・佐澤よりごあいさつ20160730-2尚絅子育て支援センター長の増淵より、今回のテーマ説明
20160730-3京都教育大学教授の加用先生です20160730-4今回も、多くの保育関係者にご来場いただきました!
20160730-5坪井幼稚園の釜﨑美奈先生20160730-6山都町立浜町保育園の平田洋介先生
20160730-7シンポジストのみなさんと、フロアの方々と意見の交換がありました

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