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【現代文化学部】教員の研究紹介「南北朝時代および天草・島原の乱の軍記研究」(武田昌憲教授)

九州における南北朝軍記文学(『太平記』『梅松論』など)や、天草・島原の乱(一揆)関係軍記(『島原記』など)を研究しています。目下、以下の二つの研究を少しずつ行っています。

一つ目は、天草・島原の乱(一揆)に鎮圧部隊として正式に出兵した九州諸藩以外に、他の藩から多くの戦闘部隊が「使者」という名目で参戦していることについて、その実態を明確にしようという研究です。東日本の藩ともなると、参戦の記録がなかなか見えてきません。水戸藩や仙台伊達藩は遠路はるばる参戦していることがわかっていますが、他の諸藩の記録も探っていくつもりです。私見では、この乱は決して幕府が言い定めた「一地方のキリシタンの農民一揆」ではなく、国を挙げて鎮めようとした前近代最後の全国的騒乱だと考えています。

二つ目は九州における南北朝関係の研究で、こちらは学部・大学院からのライフワークです。とくに南北朝時代の九州の武士等に興味がありますが、九州や肥後国の南北朝時代といえば外すことのできないのが菊池氏の存在です。また、平家を中心とする落人伝説などにも興味を寄せています。

さらに二つ目の研究と関連して、最近は「後南朝」の動きにも注意を向けています。「後南朝」という言葉はあまり一般的ではなく、教科書にも載っていないことの多い概念です。南北朝時代と室町時代の間にあるというわけでもなく、強いて言えば、室町時代の前半に寄り添うように南朝再興をめざして幕府勢力と抗戦した地域的な戦乱期、というべきかもしれません。

明徳三(1392)年の南北朝合一後、中央や九州の南朝の子孫は結局のところ断絶してしまいますが、そのあたりの事情を描いた、『続太平記』や『後太平記』などの軍記文学があります。これらは史実とは遠いところもありますが、「後南朝」研究には欠かせないものです。

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