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お知らせ 文化コミュニケーション学科

【現代文化学部】教員の研究紹介② 畠山真一教授(情報メディア文化)

私の現在の主要な研究分野は,次の2つです。

(1) アニメーション作品における音響(声,劇伴,音響効果など)

(2) マンガのキャラクター造形とコマ割りに対する映画的手法の影響

 

(1) については,昨年(2018年)日本アニメーション作品(特に『けいおん!』)における声優の演技について研究を発表し,声優の「声」とセリフ回しに見られるモノマネ的「過剰な演技」(日本的に言えば「デフォルメ」)について議論しました。たとえば,『けいおん!』の主人公である平沢唯は,「あ,あ,ほ,ほい,失礼いたしやした」といった,現実世界の女子高校生がまず発話しないと思われる言語表現を,過剰に幼い声で発しています。この点を「カワイイ概念と不気味の谷現象」という観点から議論しました。

この方面についてはさらに,アメリカ・ミュージカル映画とアメリカ・アニメーションの影響関係についても論文を準備しています。映画に「音響」が加わることで登場したアメリカ・ミュージカル映画は,アメリカ・アニメーション作品(ディズニー作品やハンナとバーベラによる『トムとジェリー』など)に影響を与えています。この2つのジャンルの関係についても「カワイイ概念と不気味の谷現象」から分析できると考えています。

(2) については,まさにいま分析をすすめている途上です。現段階では,1930年代に日本に持ち込まれた映画の編集手法である「モンタージュ」概念が,キャラクター造形(キャラクターの顔や姿の設定のこと)に影響を与えると同時に,1910年代に確立されたコンティニュイティ編集手法が,こちらも1930年代「モンタージュ」という名前で受容されることを通じて,マンガのコマ割りに指針を与えたことを明らかにしようとしています。

 

「けいおん!路面電車目当ての若者が男女問わずいっぱいなう。」twitter.com/tkaigeによる投稿、2011年9月24日(クリエイティブ・コモンズ/CC BY 2.0)。モンタージュ理論で知られるセルゲイ・エイゼンシュテイン(パブリック・ドメイン)。

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