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【現代文化学部】教員の研究紹介「古典的ハリウッド映画と戦前物語マンガの関係」(畠山真一教授)

図1

 

図2

 

私の現在の研究テーマは、古典的ハリウッド映画と戦前物語マンガの関係です。

古典的ハリウッド映画は、1910年代半ばに確立されたアメリカ娯楽映画の様式であり、現在のいわゆるハリウッド映画の起源となっているジャンルです。

このジャンルの映画は、「映画が語る物語の背景となる時間と空間が連続的に提示されること」「登場人物の心理状態や因果関係がはっきりしており、わかりやすい物語であること」という2つの特質を持っており、この時空間および物語の語りに関する連続性には「コンティニュイティ」という名前が付いています。現在まで、どのようにコンティニュイティが実現されているかという点について数多くの研究が発表されてきています。

一方、戦前物語マンガは、1930年から1941年までに発表された『スピード太郎』『のらくろ』『火星探検』といった長編マンガに代表される、戦後ストーリーマンガの原点と言うべき作品群を指します。古典的ハリウッド映画は、1930年代には日本においても大量に上映されており、戦前物語マンガに大きな影響を与えていると考えられます。

たとえば、1900年代初頭に開発され、古典的ハリウッド映画では非常に一般的なカメラワークとなったパン撮影(カメラの軸を固定したまま右や左に振る撮影方法)は、『のらくろ』においてそのマンガ的実現をみることができます(図1)。

また『スピード太郎』においては、こちらも1900年代に開発され、古典的ハリウッド映画において一般的となった編集手法であるクロス・カッティング(異なった場所で同時に発生している2つの出来事をショットを交互に繋ぐことによって見せるという編集技法)のマンガ的実現をみることができます(図2)。

今後は、上述のような影響関係をきちんと資料に即して分析をすすめていきたいと考えています。

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