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【子育て研究センター】令和2年度 第1回乳幼児保育研究会を開催しました(報告)

コロナウイルスの影響により開催を見送っていた乳幼児保育研究会ですが、10月28日(水)に、ようやく再開することができました。久しぶりに顔を合わせる研究会メンバーも多く、研究会を心待ちにされていた様子が伝わってきました。なお、開催にあたっては、3密を避けることができるよう、これまでの会場を変更することで参加者同士の距離を確保するなど感染拡大防止策を講じての実施をしました。

今年度の第1回目となる乳幼児保育研究会ですが、はじめに本研究会の趣旨やテーマについて確認した後、早速かおるこども園の野中さんから0歳児クラスの男の子の食事場面の様子について報告をしてもらいました。野中さんは、昨年度に本学の幼児教育学科を卒業したばかりで、1年目の新人保育者です。幼児教育学科の卒業生が保育現場で頑張っていること、そして本研究会に参加し卒業後も学びを継続してくれていることにとても嬉しく感じました。

野中さんの報告に出てきた男の子は、食事の場面で、食べ物(パン、果物、汁物など)を口に詰め込んでしまう様子があるそうです。また、噛む力が弱いためか舌ですり潰すように食べているとのことでした。さらには、手づかみ食べでは、食べ物を指でつまむのが難しく握りつぶしてしまうとのことです。そのため、野中さんは、「食べ物を噛みちぎる力をつけるにはどのような対応をしたらよいか」、「つまむのが難しく握りつぶしてしまう子どもへの対応について」といった質問を参加者に投げかけていました。

参加者同士のやり取りの中で明らかになったことは、先ず一つ目として、近年の子どもたちは咀嚼や嚥下の力に課題があるのではないかということです。具体的には、固い食べ物を食べなくなったことにより咀嚼の力が弱いことや、それに伴って唾液の分泌量が減ってきているというものです。先日、ぶどうを喉に詰まらせて窒息死をした男児の事故の報道がありましたが、噛む力や飲み込む力の育ちの乏しさは、食べ物を喉に詰まらせたり、詰まらせた物を吐き出すことが難しかったりするなどの危険性が上がります。また、子どもの中には、唾液の分泌量が少ないために、お茶で流し込むように食べたり、パンやイモなど口の中の水分を吸ってしまうような食材を食べたがらないという姿もあるようです。他の参加者からは、噛む力を育てるために、スティック状に切って湯がいたゴボウを子どもがカミカミできるようにしているなどの工夫も教えてもらいました。

そして、二つ目には手づかみ食べの重要性についてです。家庭での中では、掃除の大変さなどから、子どもが口を空けて待っているところに保護者がスプーンで食事を与えることも多いかと思います。しかし、せめて保育の中では、子どもの食事に対する意欲や主体性の面からもできるだけ手づかみ食べを保障していきたいものです。加えて、指でつまむことができるようになる(手先の巧緻性の獲得)ためには、体幹の育ちが不可欠です。運動機能の育ちは、全体から部分へ(上部から下部へ、中心から末端へ)という順序性があります。そのためハイハイや歩行といった粗大運動が適切に行えているかどうか再度確認をする必要があります。ハイハイをしていたとしても、体全体を支えられるだけの腕や手の筋力がついていなければ、微細な手指の発達にはつながりません。また、ハイハイの姿勢で前方(手の方)に負荷がかかることによって顎の筋肉の発達も促されます。それらがまだ十分に発達していない場合は、手押し車や斜面をハイハイで上り下りする遊びをするとよいというアドバイスもいただきました。

そして何より、遊びの中で身体をしっかり動かし、空腹感を覚えることが大切です。ある参加者が「空腹感が一番のごちそうだ」と話していましたが、食べたいと思えるくらい遊びを充実させることを心掛けることも重要です。

その他には、子どもが口にする物に対する私達大人の責任についても話題になりました。例えば、果物についても、私達が思っている以上に果糖は糖分が高く、摂り過ぎはよくないということも教えてもらいました。人間の身体は口にする物でできています。子ども達は、自分が食べるものを自分で調達、選択することが基本的にはできません。したがって、私達大人がしっかりと勉強をし、意識をすることの大切さを再確認しました。

最後に野中さんは、「食事の場面だけでどうすればよいかと考えていたけれど、そのほかの場面にも目を向けつなげて考えることの重要性、遊びを充実させることの重要性に気付けた」と話していました。

初回から多くの大切なことを確認、共有することのできた研究会となりました。来月からも引き続き感染拡大防止に努めながら参加者同士で学びを深めていきたいと思います。(文責:二子石諒太)

 

【次回の乳幼児保育研究会】

2020年11月25日(水)14~16時

開催場所:尚絅大学武蔵ヶ丘キャンパス 管理棟5階 大講義室

(住所:熊本県菊池郡菊陽町武蔵ヶ丘北2-8-1)

問い合わせ先:電話 096-338-8840(事務代表、担当:増淵千保美、二子石諒太)

メール:masubu@shokei-gakuen.ac.jp(増淵千保美)

 

報告者の野中さん(右)
久しぶりの研究会でしたが、皆で議論を深めることができました。

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