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【子育て研究センター】第8回乳児保育研究会を開催しました!

すっかり冬の季節となりました。今年も残りわずかとなり、皆様には教育・研究において大変お世話になった一年であったと思います。感謝御礼申し上げます。

去る11月27日に、第8回乳児保育研究会を開催しました。今回は、尚絅大学短期大学部附属こども園保育棟の立山純子さん、ルーテル学院幼稚園の井出朋美さん、東田理恵さんから、0歳児と2歳児の保育実践について報告していただきました。

まず、立山さんからは、ご飯を食べるのに苦労している子どもの様子や、友達の髪をひっぱり、顔をひっかくなどの姿を見せる子どもへの対応についての悩みや取り組んでいることについてお話いただきました。食べることについては、どうしても「お腹が満たされないと眠れないのではないか?」という心配もあり、ご飯におかずを乗せると食べてくれるので、そのように食べさせていたが、これで本当によいのだろうかと疑問を感じていたそうです。

メンバーからは、「1日3食のうちの1食と考えたら、本人が食べたい分だけで良いのではないか?」「園での給食のあり方について、何を大切にするのかで食べさせ方も決まってくるのではないだろうか。とにかく完食させることが目標ならば、ご飯とおかずを混ぜて食べさせることもあるだろうが、一つひとつの食材の味や匂いに触れながら食べる喜びを育てていくのであれば、今食べたくないものは子どもが選択して食べているのだと理解し、無理強いをすることはないのかもしれない」などの意見があげられました。この報告後、園で子どもの様子を見ながら、本人が自ら食べようとする姿を大切にしながら関わってみると、約1ヶ月後には、「今日は、混ぜずにご飯だけで食べることができました」と嬉しい報告がありました。さらに、食べられない日でも、無理強いせずに本人の気持ちを尊重しさらりと対応していると、3時間ぐっすり眠ることができたそうです。

また、友達に手が出る姿については、各園でもよく見られる光景です。メンバーからは、「その子は、しっかり遊び込めているだろうか?」「友達に関心が出始め、関わりたいという気持ちが強まっているのではないか」、「先生にとって、まだその子は遠い存在になっているのではないか?ひっかかないかと、監視されていると思われていないだろうか?」など、子どもの姿を見直すきっかけをいただきました。また、「うちの園では、それはしちゃダメよ、と注意するよりも、どのように友達と関われば良いのか、具体的に提案している」という意見もありました。一つひとつを行動しながら学んでいく段階の子どもたちにとって、このような子どもの姿を受けて、どのようにその子の学びにつなげていけるか、保育者が考えていく必要があるのだと感じました。立山さんは、研究会後、できるだけその子どもと遊び、手持ち無沙汰になる時間を作らないように、好きな遊びを一緒に見つけていったそうです。すると、遊び込んでいる時にはこれまで心配していたような姿は見られなくなったそうです。これから月齢も上がっていきます。保育の課題として、子どもたちが遊びを共有し、「おんなじ」「いっしょ」が楽しくなるような共感関係を橋渡ししていきたいものです。

次に井手さんと東田さんからは、登園時間が遅く、朝からぼーっとした様子で午前中の遊びに入れない子どもの姿に対する実践報告をしていただきました。保護者に対しても午前中の遊びの大切さについて、昨年度から担任が毎日話をしたり、お手紙や面談でも伝えたりしているそうです。

メンバーからは、「早寝早起きの睡眠リズムの確立の重要性を専門家から話してもらう機会を作ってはどうか」、「朝のお散歩活動の後に午前のおやつになるところを逆にして、登園後は自由遊びの時間にして、午前のおやつを食べた後にみんなでお散歩するというのはどうか?」という提案もありました。その後、この子どもさんの下のきょうだいが生まれ、1週間は家族の協力によって朝から登園し、リズムのある園生活を送れたそうです。井手さんと東田さんは、その間の子どもの生き生きとした園での様子を保護者にも伝え、継続して生活リズムを作って行きたいと考えていきたいとおっしゃっていました。また、外遊びの時間をその子の登園時間に合わせて変更することによって、以前よりも自ら意欲的に遊ぼうとする姿が見られるようになったそうです。

保護者も毎日の生活と子育ての中でいろいろな思いや願いを持っていらっしゃると思います。家庭の暮らしを想像しながら、お母さんやお父さんの不安や悩みにも思いを馳せ、子どもを真ん中にしながら、その成長の過程を一緒に喜び合いたいものですね。それには、まだまだ長い時間がかかるのかもしれません。時には、園内で開催する育児講座などの機会を利用して、専門家の力を借りることも必要かもしれません。私たちは、何よりも子育てを共にする仲間として、保護者とも協力・連携していきたいと願っています。

今回の報告は、どの園でも課題となりうる事例ばかりでした。保育者、子ども、保護者、それぞれの頑張りを認めながら、共感の眼差しを持って語り合う中で、普段気づかなかった視点や保育の課題が見えてきました。研究会のメンバー同士で話し合っていると、保育の質は、まさにこのような集団的に学び合い話し合う中で、高めることができるのだと実感します。今年度あと4回の乳児保育研究会も、1回毎に充実し発展したものとなるよう取り組みたいと思います。いつもお忙しい中を駆けつけていただき、本当にありがとうございます。次回も、ぜひお待ちしております!(文責:増淵千保美)

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