お知らせ 子育て研究センター
【子育て研究センター】第6回乳児保育研究会を開催しました!
「実践カンファレンス」
2019年9月18日(水)に、第6回乳児保育研究会を開催しました。今回は、ことな保育園の園田先生と、おひさま保育室の村上先生のお二人から報告をしていただきました。
はじめに、ことな保育園の園田先生から、給食でのアレルギー対応についての取り組みを報告していただきました。保育園に、卵や鯖、牛乳などにアレルギーがある子どもがいるため、市役所や医師からの指導を受けながら、その子専用の除去食を用意し、アレルギー専用のトレーを使用する等、誤食・誤配膳がないように工夫等しながら対応しているそうです。ただ、メインの食材を除去する必要がある場合や、複数のアレルギーを持つ場合、また保護者へのアドバイスの仕方等で悩むこともあるとのことでした。
メインの食材が除去の場合はどのように工夫・対応しているかという質問に対しては、「例えば、青魚がダメなら白身、サバがダメならシャケ、魚全般がダメなら肉…等というように食べられる食品で代替食を用意する」という声や、「一人だけ除去するのか、全体で使わないのか、園の方針や考え方にもよるがみんなで食べることを大切にしたいので、牛乳や卵を使わないことに決めている。」といった声が出されました。代替食の用意については、「魚の代わりに肉という場合、当日搬入当日調理が原則であるが、発注量の関係もあるため肉がメインの日に多めに発注しておいて、保育園で冷凍しておく」ということもされているようでした。
その他に話題として、アレルゲンとなる食材について、保護者の希望により経口負荷試験的に食べさせることを実施する園と、そうでない園とで違いがあるようでした。(ちなみに小学校以降の学校給食では完全除去と定められているそうです。)この違いは、医師のアレルギーに対する考え方の違いに起因していますが、食物アレルギーを持つ子どもが増えている昨今、それぞれ対応に悩んでいる保育現場の一端が垣間見えるものとなりました。
また、ある参加者から「身の回りの食材・食品には多くの防腐剤や添加物が使われている。例えば、赤いウインナーの着色にはプラスチックが使われている場合もある。私たちはそういった事を知らない(知らされていない)ことが殆ど。自分たちでしっかりと勉強していく必要がある。」との意見が出ましたが、まさしく子ども達が口にするものに対する責任は私たち大人の側にあることを強く意識をしていく必要があると感じました。上述した「園の方針や考え方にもよるが…」という声は、アレルギー対応はもとより、食育、ひいては保育そのものと通じるものでもあるのではないでしょうか。
次に、おひさま保育室の村上先生からは、具体的な記録をもとに、食事と遊び、そして仲間とのつながりの視点から、これまでの子どもの姿の変化について報告をしていただきました。おひさま保育室では、乳児保育研究会での学びを踏まえ、食の問題を食だけで切り取って考えるのではなく、身体作りや遊びの充実等の視点からも考えてきたとのことです。実際、報告にあった子どもは、入園前は白ご飯やコンビニおにぎりしか口にせず(実際にはジュースやクッキーといった菓子類は食べている)、その他にも視線の合いにくさ、手指や体幹の育ちの乏しさ等も見受けられるということでしたが、運動遊びや感触遊び(砂・泥遊び)を十分に楽しみ、お腹を空かせることを大切に保育をすすめていったところ、徐々に食べられるものも増えていったそうです。また、友達や保育者とのコミュニケーションも増えて、言葉のやりとりも豊かになったとのことでした。保育の基本でもある遊びを通して、しっかりと遊び込める身体をつくり、その過程での他者への興味・関心、仲間集団とが食と繋がっているということを改めて確認できる報告でした。
参加者からは「保育園で食べられるようになったものを家庭に簡単な調理方法と共に伝えるなどして、家庭とも連携が取れると良い」「遊びもだし、食についても家庭の中だけだと(もちろん親もそういう知識が無かったり、教わってきたりしていないだけなのだけれども)経験不足であると感じることが多い。丁寧に伝えていくのも私たちの仕事」という声が挙がりました。終わりにあるメンバーから「今は食べ物を“買う”のが当たり前で、レトルト離乳食もあるし、コンビニは24時間空いている等、手軽に便利に手に入れられる生活スタイルに慣れすぎてしまっている」という印象的な意見がありました。忙しい現代人にとって「簡単に手に入る」「便利」ということは良いことではありますが、その一方で裏に潜むリスク(大量の防腐剤や添加物)も同時に頭に入れておく必要があるでしょう。
今回は、アレルギー対応を含む食に関する2つの報告でしたが、私たちの身体は口にする物でできているという当たり前だけれど、とても大切なことを改めて考えさせられた時間となりました。
(文責:二子石)


