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【子育て研究センター】第5回乳児保育研究会を開催しました

第5回乳児保育研究会を開催しました

「実践カンファレンス」

少しずつ秋の気配が感じられるようになって来ました。いつも、乳児保育研究会にご参加いただき、ありがとうございます。さて、第5回乳児保育研究会は、さくらんぼ保育園(0歳児)の前田桃樺さん、あいあい保育園(0歳児)の前田美紀さんと調理師の永野幸美さんが報告してくださいました。

まず、さくらんぼ保育園の実践です。0歳児クラスでは、男児9名、女児9名、合計18名の子どもたちと、担任3名、看護師1名、パート2名の職員体制で緩やかな担当制をとっています。主に、着脱、食事、排泄、睡眠は担当者が行い、遊びはその時々で保育者全員がかかわっています。日中の活動は、江津湖へのお散歩、園庭やテラスに出て遊んだり、散策したりしています。暑い時期は、水遊びも沢山しています。その日の子どもたちの体調に合わせながら保育者同士で情報共有しながら見守っています。

その中で、前田さんは1歳過ぎたRくんの事例を報告してくれました。入園当初からRくんはひとり歩きができ、人見知りもなく園の生活にもすぐに慣れて遊ぶ姿がありました。入園までは母乳のみの食事で、給食がなかなか進まず、眠りにつくまでの時間もかなりかかり、泣いて自分を起こし、眠ることに対して不安なのか、嫌がる姿がありました。

4ヶ月経った現在では、離乳食初期の段階から移行食にまで進み、日中泣くことも少なく、遊びも「面白そう!」「楽しそう!」を見つけるのが、とても上手で楽しそうに遊ぶ姿が見られます。お友達にも関心が広がり、お友達が持っているものが気になりだして取合いになることもあるそうです。午睡も「Rちゃんお布団ごろ〜んして〜」というと寝転がり、寝かしつけをするとすぐに寝るようになってきました。

しかし、まだ悩むこともあるそうです。一つ目は、最近、お友達との関わりができてきたがゆえに噛みつき行為が見られるようになったこと。お友達への距離感がとても近く、噛むタイミングがわからないことです。ただ、噛む前に大人の顔色を伺うことがあります。メンバーからは、「噛む相手が弱い子だったり、月齢の低い子であったりするのであれば、集団の力関係が分かりだしているのかもしれない」。「大人の方を見て確認する行為があるのであれば、その子の傍に大人がいて、好きな遊びをとことん一緒に追求しながら、周りにいる子たちも巻き込んで、友達同士をつなげていく保育を行ってみてはどうか。」「まだまだ、遊びに満足できていない部分もあるのではないか?」という意見が出されました。

そこで、前田さんは「他の園の皆さんはどんな遊びをしていますか?面白い感触遊びを教えて欲しいです」と質問してくれました。さくらんぼ保育園では、お散歩や水遊び、泥んこ遊びを中心に毎日遊んでいるそうです。その様子を話すと、メンバーからは「それで十分だと思いますよ!それを毎日思う存分させてあげるのがよいのではないでしょうか」とアドバイスをいただきました。

さらに、離乳食の進め方についても今後、どのようにしていこうかと考えているそうです。Rくんは、あまりお腹が空いたという感覚がないようで、保育者が給食に誘わないと自ら食べようとはしません。また、白ご飯のみでは食べないため、園で糠(ぬか)やいりこ、ごまなどの食品を粉砕した手作りふりかけをかけてあげるそうです。そうすると、ふりかけの部分は食べてくれるそうです。まだ、口腔内の発達が十分でなく、噛む力や食物を舌でうまくまとめて飲み込む一連の動作を練習中なのかもしれません。「咀嚼力は言語力にも繋がるので、給食やおやつの時間等に、手で持って歯でガジガジと噛む練習ができるスティック野菜(硬めに茹でたゴボウなどの根菜)を出すのも一つの方法」。「歩き始めも10ヶ月からということは、必要なハイハイ運動や自分の手で体を支えられるだけの筋力はついていないかもしれないので、体を使った遊びを十分に保障して体幹を育て、夜間の授乳も卒業していけるようになると、変化するかもしれない」と、メンバーから自らの実践経験をもとにお話いただきました。

次に、あいあい保育園からの報告は、0歳児クラスにおける給食に関することです。男児7名、女児4名、合計11名のクラスで、担任は保育士3名と看護師1名で保育をしているそうです。クラスの子どもたちは、元気いっぱいで歌が大好きです。食事の準備を始めると、自分たちから椅子に座りにくるぐらい食べることが大好きな子どもたち。毎日、手づかみでモリモリ食べています。現在は、普通のご飯7名、軟飯2名、おかゆ2名と、それぞれの月齢、発達に合わせて離乳食を進めています。

園の方針としては、食材提供は家庭で食べてからとなっています。1歳6ヶ月からは、園の献立メニューと同じものを食べるようになるので、それまでには園で提供する食材は家庭で食べておいてもらうようにしています。0歳児クラスでの離乳食の進め方としては、入園時に保護者に食材チェック表を配布し、食べた食材をチェックしてもらうようにしています。入園後に食べられるようになった食材は、その都度、伝えてもらうようにしています。個人の食材チェック表は、保育室と給食に掲示し直ぐに確認できるようにしています。

4〜5月は、朝から給食室に人数を伝える際、食べていない食材を抜いてもらうようにしていました。代替食材については、当日に保護者から聞くので、朝からの口頭伝達は保育士も調理師も時間的に余裕がなく大変だったそうです。そこで、離乳食の献立表を保育者と調理担当者が一緒に作成し、一週間分の食材が先にわかるようになると、メニュー内容を互いに検討できるようになりました。また、保育室、給食室でもお互いに確認をスムーズに取ることができるようになりました。しかし、一週間分の食材がわからない場合や食材を記入するのに時間がかかってしまうこともあり、離乳食メニューは調理担当者が個人の食材チェック票を見て作成することになりました。確認は、ボードに登園人数と個人名欄に○印をつけて、すぐに見てわかるような一覧表を作成したそうです。

現在では、代替食は、2パターンの食材で対応できるようシンプルにし、月1回給食会議を行う中で調理担当者と保育士との共通認識をとっています。保護者に対しては、お迎え時に口頭で尋ねたりしています。他の園では、給食会議の他に「給食ノート」を作り、日常的に頻繁にやりとりができるよう書面に残して伝え合っていくこともしているそうです。保護者への確認については、連絡帳に常時、食材チェック表を貼っておき、その都度、食べたものにチェックしてもらう方法や、連絡帳に夕食・朝食の食材を書く欄があり、それをチェックしておく方法など、各園で工夫していることを出し合いました。

「おやつについてはどうしていますか?」という質問に対しては、「午前のおやつを食べると給食の食べがあまり良くなかったので、午前のおやつは水分補給だけにして、給食をしっかりと食べられるようにしている」「朝、早くからきている子には、午前のおやつがないと給食までの時間が持たない」「朝食を食べて来られない家庭の子どもには、おにぎりなどの軽食を食べさせることもあった」など、いろいろな方法が出されました。午後のおやつに関しても、「職員会議等の時には手作りおやつが提供できず、市販のお菓子になってしまう」「お菓子は子どもにとってどうなんだろう?」という声も上がりました。

子どもの成長にとっての「食」という観点から考えた時、乳幼児期は、まだ大人のように十分な胃の大きさになっていないため、4回(朝・昼・午後・夕方)に分けて食べるという考え方があり、午後のおやつは3食を補う形の「軽食」「補食」と位置づけることもできます。そうすると、この「おやつ」の内容は、菓子類ではなく、おにぎりやうどん、ふかし芋などで十分なのです。ちなみにフルーツ類で、外国製のバナナやオレンジなどは、長期の輸送時間に耐えるために多量の防腐剤をかけて輸入されます。そのことを考えると、小さな子どもたちには、できるたけ体に有害な添加物は避けたいものです。そのようなことも、給食を通して保護者とも共有できるといいですね。

今回も、お二人の実践報告とメンバーの皆さんからの意見により、たくさんの学びや気づきがありました。安心して過ごせる保育者との関係を基盤に、体を思いっきり使った遊びの充実、その遊びを通してお友達との心地よい関係が広がり、食べるということへの営みにもつながっていきます。そして、その食を調理担当者と保育者、保護者が連携し学び合いながら、子どもの育ちに応じて豊かなものにしていくことが、今、保育に求められていることなのではないでしょうか。9月、2月の乳児保育研究会も「食」に関するテーマで実践報告が行われます。ぜひ、お誘い合わせの上、ご参加ください!                    (文責:増淵千保美)

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