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【子育て研究センター】第19回公開シンポジウム開催の御礼

去る令和元年8月4日(日)に、尚絅大学武蔵ヶ丘キャンパスにて、第19回公開シンポジウムを開催いたしました。今年度も、多数の参加者に恵まれ、学び合いの時間をみなさんと共有することができました。同時に、午後からは幼児教育学科公開講座である第34回サマーセミナーも同日開催し、のべ129名の方々のご参加をいただきました。この場をお借りして、御礼申し上げます。

前半の講演では、「子どもの育ちを丁寧に見つめる―多面的な子ども理解に向けて―」というテーマで、北海道大学准教授の川田学先生からお話をいただきました。講演の内容は終始興味深いもので、特に印象的だったのは、『子どもの主体性の捉え』についてです。保育の中で“主体性・主体的”という言葉はしばしば用いられますが、川田先生によれば、この主体性・主体的というのは必ずしも「自分ひとりで物事を決め」たり、「生活や遊びに前向き、積極的に取り組む」姿ということを意味しないそうです。

そもそも人間は、産まれた瞬間から他者を介して自己決定・自己実現をしていく存在であり、大切なことは、表面的に積極的あるいは消極的な姿であったとしても「対象(ヒト・モノ・コト)との関係の状態」を丁寧に見つめていくことなのだそうです。子どもが周りの世界とどのように関係性を切り結んでいるのかどうかをひっくるめて見ることが深い「子ども理解」につながるということを教えて頂きました。川田先生のご講演は、多くの具体的な子どもの事例をもとに非常に分かりやすくお話していただき、参加者も何度も頷きながら耳を傾けていました。

後半のシンポジウムでは、「保育のはじまりとしての子ども理解―実践を通して考える―」というテーマで、黒肥地保育園主任保育士の鍋田まゆ先生、認定NPO法人とら太の会理事長の山下順子先生のお二人の先生から、実践報告していただきました。

鍋田先生からは、異年齢保育について、「子どもの“できる”と“育つ”との関係」について、山下先生からは、障がいのある子どもとそうでない子どもとが共に育ち合う姿についてお話いただきました。お二人の先生とも、これまでの豊富な経験から語っていただきましたが、共通することは、子どもの姿に学びながら自分自身を振り返ってきた日々の連続であったこと、そして子どもは子どもの中で育つという、子どもという存在への強い信頼を寄せている点にあると言えます。報告後は、フロアからの質問も交えながら、川田先生からお二人の実践にそれぞれコメントをいただき、実りある有意義な時間となりました。

昨年度より新しい指針・要領がスタートし、今年の10月からは幼児教育・保育の無償化が予定されているなど、今、保育を巡る状況は刻々と変化をしています。そして、保育の質を巡る議論はこれまでに無く高まりを見せています。しかし、いかなる状況であったとしても、常に子どもと達と共にある保育の実践は、今回のテーマに掲げた「子ども理解」から保育をスタートさせていくことに変わりはありません。川田先生のご講演と、お二人の先生の実践報告のシンポジウムを通して、実は「子ども理解」という言葉の意味について、それぞれの保育者が様々な理解・解釈をしている状況もあることに気づかされました。保育者はどのような視点でもって子どもを理解していこうとするのか、その道しるべを示していただいたことにより、より一層深く考えることができたように思います。今後も、この学びを活かして、それぞれの園での保育研究と実践の発展に取り組んでいけたらと願うばかりです。ご参加下さった皆様、本当にありがとうございました。                     (文責:二子石諒太)

多くのご参加ありがとうございました
北海道大学 川田学先生です
黒肥地保育園主任保育士 鍋田まゆ先生
認定NPO法人とら太の会理事長 山下順子先生
フロアの皆さんと共に学びを深めました

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