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【子育て研究センター】第3回乳児保育研究会を開催しました!

第3回乳児保育研究会を開催しました!

「実践カンファレンス」

2019年6月26日(水)に、第3回乳児保育研究会を開催しました。今回は、北合志保育園の坂田先生から2歳児クラスの子どもについて、ひまわり保育園の中村先生から1歳児クラスの子どもについて、それぞれ報告をしてもらいました。

まず北合志保育園の坂田先生から、担任している2歳児クラスの子どもについて報告がありました。坂田先生は、今年1年目の新人保育者です。報告を通して、日々悩みながらも子ども達と一生懸命に向き合っている様子が伝わってきました。

相談の1人目の子どもについては、水へのこだわりが強く、水遊びが大好きなあまり、保育者が目を離した隙に黙ってプールに行ってしまうことがあるそうです。その他の場面でも、保育者の指示や伝えたいことがその子に入りにくいと感じることもしばしばで、どのようにその子どもと関係を築いていけば良いのかと悩んでいるとのことでした。

報告を受けて、メンバーからは、「施錠するなどプールに自由に行ける環境をもう少し変えてみたらどうか。プール等の事故のリスクマネジメントと、遊びの充実は別問題として捉えるべき」、「言葉での伝わりづらさがあるならば、絵や図などを使い視覚的な援助を取り入れながら伝えてみてはどうか」、「遊びの充実度・満足度を見極めてあげて、とことん水に触れる経験をさせてほしい。禁止や制止だけだと、否定されたと感じてしまう」、「みんなで遊びながらプールの水を溜めていったり、子どもがバケツリレー形式で溜めたりする等、プールの時間や方法を工夫してみては」等の意見がありました。

遊びや生活の中で何か好ましくない子どもの姿が見られたときに、私たちはついついそれを取上げたり、遠ざけようとしたりしますが、むしろそれらとより深く対話することのできる環境(時間・空間)を工夫して創り出すことこそが重要であるように感じました。

続けて、2人目の子どもについて報告がありました。その子どもは、ひとり親家庭で母親への想いが人一倍強く、母親の話題になると他児とトラブルになる姿があるそうです。そうした家庭状況も影響してか、精神的な不安定さも抱えている様子で、特に排泄について保育者に伝えてこなかったり、おむつが濡れていても隠したりする姿があるとのことでした。坂田先生は、その子どもが不快さを感じていないのかと心配になり、どう対応していけばよいか迷っているとのことでした。

メンバーからは、「オムツが濡れていて不快だと感じないというのは考えにくい。不快さを感じていない訳ではなく、不快感を(周囲の大人に)訴えられないのではないか。排泄での失敗(・・)を怒られた(・・・・)経験がある子どもは、隠す傾向にある。子どもと保育者達の関係を見直すことも必要かもしれない。」、「そもそも、排泄は失敗ではない。排泄とは生きるために必要で大切なこと。むしろ排泄を喜ぶ雰囲気をつくってほしい。」という声も挙がりました。また、その他に「もしオムツが濡れていても、絶対に皆の前では言わず、近くでコソっと教えてもらう」、「隠していると感じたら、水遊びをしてわざと水を掛けてしまったふりをして着替えを促す」等の配慮をしているという参加者の意見も出されました。2歳児とは言え、当然ながら恥ずかしさ、あるいはプライドをしっかりと持っています。そうした面にも思いを寄せて配慮をすることができる保育者でありたいと全員で確認しました。最後に、坂田先生は「今日色々な先生から聞いた話を意識しながら、また明日から子ども達と一緒に楽しみたい」と話されていました。

次に、ひまわり保育園の中村先生から1歳児クラスの子どもについてお話してもらいました。クラスの中に、身体が硬く突っ張っている、つま先立ちで歩くことが多く転びやすい、食の好き嫌い(偏食)が目立つ、感覚の過敏さ(泥んこ、小麦粉、寒天、絵の具遊びを嫌がる)がある、等の姿を見せる子どもがいるそうです。そのような中、乳児保育研究会の前回のリズム運動から学んだマッサージや身体のほぐし方を、実際にその子と実践してみると、転ぶ回数が減る等、目に見えて効果を実感されたそうです。しかし、身体の緊張や堅さは徐々にほぐれてきている感じはあるものの、感覚の過敏さや偏食に関しては、どうかかわっていこうか悩んでいるとのことでした。

参加者からは様々な意見が出されましたが、中でも泥遊びを嫌がる姿を「敏感さと捉えるのか、経験の差と捉えるのか、この視点も大切では」という声がありました。考えてみれば当然ですが、子どもに限らず、人は誰しも未知のヒト・モノ・コトに対しては警戒心も持つものです。実際に、中村先生の報告の中でも、(別の遊びですが)最初は拒否をしていたものの、おそるおそるやってみたところ、その面白さに気付き、繰り返し遊ぶ姿が見られたこともあったようです。急ぎすぎず、その子どもが自ら触れて、かかわりたくなるタイミングを待つこと、保育者や友達の楽しんでいる姿を見せることも一つの援助です。

また、それと同時に、子どもにとって“安心できる環境(時間・空間・仲間)”が整っているかということも大事な観点となるように思います。園生活そのものへの安心感・安定感や周囲の友だちや大人への信頼感がない中では、やはり伸び伸びと遊び自己発揮することは難しいものです。

ある研修会の場で、「母親や父親が除菌や殺菌に神経をとがらせている家庭の子どもは、砂・泥遊び等の汚れることをしたがらない傾向にある」との話を聞いたことがありますが、以前に比べ、家庭や地域の中での生活経験・体験の乏しさが指摘される今日、保育の現場においては、子どもの興味・関心を踏まえながらも多様な経験の保障という視点から、豊かな遊びや生活の世界へ誘うという意識がより一層求められると感じました。

偏食に関しても、参加者からは「食べないと保育者も不安になる気持ちも分かるが、楽しい雰囲気の中で、友達との互いの姿が影響し合いながら、食べ始める姿もよく見られる。焦らずに丁寧に関係性を築いてみてはどうか。」、「手や足をしっかりと使う経験、手づかみの経験、遊びの充実と比例して食べられるようになるのでは?」、「食べられるものもあるなら、給食室の先生と連携をして、食べられるものから食への関心を膨らませていくと良いのでは」といったアドバイスも出されました。「食は人なり」という言葉がありますが(食の好みや食べ方にその人の人となりが現れる)、別の見方をすれば、食について考える時は、どんな人と、どんな雰囲気で食べるか、ということも実は大切な要素とも言えるのではないでしょうか。中村先生は、「今日の話を踏まえ、心と身体と頭をしっかり使う生活や遊びを保障していきたいと思います。」と最後に振り返っておられました。

第3回の研究会も活発な意見交換ができた有意義な回となりました。    (文責:二子石諒太)

 

次回の研究会も引き続き「実践カンファレンス」をテーマに、0歳児クラスの子どもの姿について報告をもとに語り合いながら参加者全員で学びを深めていきたいと思います。

7月24日(水)14~16時、尚絅大学武蔵ヶ丘キャンパス 管理棟2階 尚絅子育て研究センター室にて開催いたします。

お問い合わせ先:096-338-8840 メール:kosodate@shokei-gakuen.ac.jp、担当:増淵

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