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【尚絅子育て研究センター】第10回乳児保育研究会を開催しました!

「実践カンファレンス:保育の悩みを話し合おう!⑥」

 

2019年1月30日(水)に、第10回乳児保育研究会を開催しました。今回は認定こども園ルーテル学院幼稚園の山田先生・吉村先生と、北合志保育園の芹川先生にそれぞれ日々の保育や子どもたちの悩みについて語っていただきました。

ルーテル学院幼稚園の山田先生・吉村先生からは、2歳児クラスの午睡の時間での子ども達の様子や環境について悩んでいることを話してもらいました。

ルーテル学院幼稚園は、認定こども園へと移行してから今年で4年目を迎えたとのことでしたが、まだまだ保育の中で以前(幼稚園時代)との違いに悩みや戸惑いもあるようです。その一つに、午睡の時間があるそうで、1号認定と3号認定の子ども達が混在する中で、午睡の時間の環境を整えていくことに難しさを感じているとのことでした。具体的には、認定の違いにより登園時間が違うことにより、眠い子どもとそうでない子どもが同じ保育室にいることで、落ち着いた雰囲気をつくることに苦労されているそうです。また、2号認定の年少児や1号認定の預かり保育利用の子どもが後から合流して同室で午睡を始めるため、既に寝ていた子どもが物音で起きてしまうなど、睡眠の妨げになっている状況もあるようです。対策としては、保育者が寝ている子どもの隣について背中をトントンしてあげられるようこれまで使っていたお昼寝用のコット(ベッド)の利用をやめ、布団を敷いて雑魚寝にしたり、食後に絵本を1~2冊読みながら、なるべく落ち着いた雰囲気をつくることを意識したりしているとのことです。ただ、そうした落ち着かない雰囲気も影響してか、布団の中におもちゃや絵本を持ち込んで入眠する子どもの姿も見られるとのことでした。

こうした悩みに、「同じ子どもで、同じ保育を受けているのに“〇号認定”ということで分けられることに、私も違和感や難しさを感じている」と、こども園として同じ思いをもつ先生の声も聞かれました。また、「“寝せよう”“寝させなければ”という保育者の焦りや思いが、子どもにプレッシャーとして伝わっているのではないか」、「施設・設備上の難しさもあるかもしれないが、できることなら部屋を分けてあげるのがよい」、「パーテーションを利用したり、棚の配置を工夫したりして区切ることで少しは違うかもしれないのでは」、「園の布団ではなく、自分(個人)の布団だから落ち着いて寝ることができるというのもある」等と様々な意見も出されました。また、絵本やおもちゃを布団の中に持ってくる姿については「頭ごなしに禁止するのではなく、もしかしたら不安の現れであるかもしれない。子どもの姿をそう捉えて認めることが大切では」という意見もあり、報告者の先生は「今日聴いた意見を踏まえ、出来ることを少しずつ工夫しながら進めていきたい」と話されていました。

次に、北合志保育園の芹川先生からは、0歳児クラスのある子どもについて、これまでの担任としてのかかわりや保育者自身の迷い、葛藤について報告をしてもらいました。

0歳児クラスのある子どもについて、それまでは穏やかに過ごしていたものの周囲の環境が変化(入園児が増えたり、保育者が入れ替わったりなど)したことにより、激しく泣いて保育者のそばから離れようとしない、おんぶや抱っこを強く求めるようになった子どもがいたそうです。その子どもへどうかかわっていけばよいのか、また同時に、保育者集団の中でもその子に対するかかわり方について必ずしも方向性が共有なされていないと感じている中での保育に悩む日々が続いたそうです。そのときに一つのきっかけになったのが、園長から他園の保育を見学(実習)する機会を設けてもらったことで、自身の保育や環境、子どもの見方を振り返ることができたそうです。同時に、年齢による思い込み(〇歳児には~は早い・出来ないだろう等)も思い改めることになり、自分自身の振り返りとともに自園の子ども達への思いも強まったと話されました。

また、職員同士の関係性の作り方や保育の方向性を共有する方法についても話題になりました。子どもが一人ひとり違うように、保育者もそれぞれの保育観や子ども観、子どもとの接し方は異なります。それは、これまでの保育者自身の経験によって、人生によって、あるいはその時の保育者の置かれている環境や状況によっても揺れ動くものであるかもしれません。保育の難しさの一つには、この異なる考えや姿勢をもつ集団がチームとして動いていくことにあります。保育者集団が一つのチームとして保育をつくるとき、得意・不得意に応じた役割分担や、保育者の多様性があることで、子どもの生活や遊びの幅が広がることあります。しかし、一方で、報告の子どものような、子ども自身の精神的な基盤が揺らいでいる、不安を持っているような場合には、保育者集団の中で共通して同じかかわりをもつことが重要です。子どもが“甘える”ことと大人が“甘えさせる”ことの線引きを、子どもの行為の裏にある奥の要求を捉えながら、見極めていく必要があるように感じます。大切にしたいこととは、若手であれ、ベテランであれ、子どもの声を聴こうとする姿勢です。子どもの声を聴こうとする姿勢は、若手かベテランかというように単に経験に裏打ちされるというものというわけではありません。報告者の芹川先生のように、保育者自身、悩み葛藤しながらも子どもの姿の奥にある訴えに応えようとする姿が報告から伝わってきましたが、そうした姿勢を第三者の力も活用しながら、職員間でも共有させることができるような取り組みの必要性を感じずにはいられない報告でした。

今回も様々な視点から、活発な意見や発言が飛び交い、学びの深まった有意義な研究会となりました。

(文責:二子石諒太)

 

次回の研究会も引き続き「実践カンファレンス:保育の悩みを話し合おう!⑦」をテーマに、日々の保育の悩みを語り合いながら参加者全員で学びを深めることができたらと思います。

2月20日(水)14~16時
尚絅大学武蔵ヶ丘キャンパス 管理棟2階 尚絅子育て研究センター室にて開催いたします。
お問い合わせ先:096-338-8840
メール:kosodate@shokei-gakuen.ac.jp、担当:増淵

今回も活発な意見交流ができました!
報告者の先生方、ありがとうございます!

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