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【尚絅子育て研究センター】第8回乳児保育研究会を開催しました!

「実践カンファレンス:保育の悩みを話し合おう!④」

 2018年11月28日(水)に、第8回乳児保育研究会を開催しました。今回は、尚絅大学短期大学部附属こども園の高村先生、ことな保育園の廣田先生、おひさま保育園の本田先生の3園の先生方に、それぞれ日々の保育や子どもたちの悩みについて語っていただきました。

まず初めに、尚絅大学短期大学部附属こども園の高村先生からは、生活実態として気になること(連絡ノートの記入が無い、前日から洋服が変わっていない、髪の毛が伸びたまま…など)をどう保護者へ伝えていけば良いのか悩まれているとのことでした。母親の様子もやや表情が硬く、他の母親とのかかわりもそう多くはないとのことでした。また、会話の内容や送り迎えに、父親や祖父母の影がほとんど見受けられないそうです。

メンバーからは、「まだまだ保育者に対して警戒している、どんな先生なのか探っている時期なのかもしれない。」「子どものことを話す前に、まずお母さんの服装や髪形など、小さな変化に気付き会話をすることで、お母さんに対してあなたを見ているよというサインを出すのもいいのではないか。」等という声も出されました。また、例えば連絡帳を書いてこないことを困った事と捉える前に、「毎日連絡帳を書くのは負担だよね、もしかして書くのが苦手かな? 連絡帳の意味(大切さ)が分かっているかな?説明は十分だったかな?」と振り返ってみることも大事ではないかとの意見がでました。あるメンバーの園では、文章を書くのが苦手なお母さんが、絵が得意だったため漫画のようにイラストで連絡帳を書いてきてくれていたそうです。また別の園では、保護者によっては「連絡帳はこっちで聞いて記録するので、(口頭で)伝えてくださいね。」と伝えているそうです。連絡帳としての目的を損なわないようにしつつも、保護者に応じた柔軟な対応を心がけたいものです。そして一方で、これまでの約半年の間で子どもの育ちもみられており「それでもちゃんと成長している」という事実に目を向けること、父親や祖父母のサポートが得られない中で、「よく毎日頑張って連れてきてくれてお母さんありがとう」という感覚も大切にしたいということも確認しました。

高村先生は最後に、「自分の中でも問題点にばかり意識が向きがちで、求めるハードルも自然と高まっていたのかもしれない。その中でどこまでしてあげるべきか、本当にしてあげていいのかと葛藤していたが、他園の先生方の話を聞いて、私もまずは素直に応えることをしていきたいです。」と感想を述べられていました。

次に、おひさま保育室の本田先生からは、特に食事の進まない子どもに対する悩みを、これまでの経過の記録を元に報告してもらいました。入園当初は、筋力がなく下半身が細いことが気がかりで、意欲や表情の乏しさが目に付いたとのことです。食事は、園でも家庭でもご飯や麺類しか口にしないとのことでした。そのような中で、マッサージを丁寧に行う、リズム遊びや散歩をする、食事も離乳食に近い刻み食にしたり、量を減らして完食の喜びを味わってもらったりするなど、様々な工夫をなされたそうです。しばらくすると徐々に身体が動くようになり、表情も明るさが出てくると同時に、ご飯をよく食べ、睡眠もしっかりと取れるといった好循環が生まれてきたと話されていました。

これまでも食をテーマにした回でも確認してきましたが、前提として「食」とは楽しいこと・うれしい時間でなければなりません。「食べなさい!食べないとダメよ!食べさせなきゃ!」と思う保育者(保護者)と「食べたくない・そんなに言うなら意地でも食べないぞ」と思う子どもとが混在する食の場とは、おそらく楽しい雰囲気にはならないでしょう。食以外の場面でも言えることですが、どうしたら“お互いが気持ちよい関係”をつくれるか考えることが大切なのではないかという意見が出されました。また、本田先生が実践されたように、食の問題を考える時は、食にだけ注目するのではなく、運動や睡眠など“遊びを中心とした生活”そのものを全体的な視点で捉えて行くことがポイントでしょう。そしてそのために必要であるならば、離乳食に戻るというように“育ち直し”や“育ちの原点に帰る”というような働きかけも必要でしょう。本田先生達による子どもへのこうした丁寧なかかわりのおかげで最近は生活リズムが定着してきたとのことですが、現場の保育士達の苦労と丁寧なかかわりが伝わってくる報告でした。

最後に、ことな保育園の廣田先生からは、姉妹園との4園合同での研修会ついて報告をしてもらいました。ことな保育園では、毎月1回それぞれテーマを設定し、時には外部講師を招きながら研修会を実施しているそうです。その際、保育士同士による絵本の読み聞かせや、子どもに読んでほしい絵本の紹介なども行っているとのことでした。それぞれの園の保育士の交流の場となっており、互いに刺激をもらうことができていると話されていました。

参加者それぞれの園で行っている研修の持ち方も色々で、昼と夜の二部制にして、非常勤保育士も参加できるように設定しているところもありました。園内研修と言うと日々の忙しい業務の中で、やや敬遠されがちなところもあるかと思います。しかし、ことな保育園のように日々の実践の省察を通して、子ども理解はもとより普段の何気ないあたりまえや年齢の固定観念を見直す契機となる時間は、「学び続ける保育者」として必要不可欠でしょう。限られた時間の中で、園の実情に応じて工夫しながら深めていきたいものです。

その他にも、“子どもから離れた休憩時間の確保”も話題になりました。ある園では「15分間の子どもと離れる休憩時間を必ず保障している」という園がありました。15分という短い時間ではあるけれど、表情も軽くなって、気持ちに余裕が出ていると話されていました。保育士ももちろん人間であり、保育職とは常に様々な気持ちを持ち出す感情労働の側面も持っています。子どもと離れて一息つける休憩時間の確保は、これから多くの園に広まっていくことを期待したいものです。

今回もたくさんの意見や発言が飛び交い学びの深まった有意義な研究会となりました。

(文責:二子石諒太)

 

次回の研究会も引き続き「実践カンファレンス:保育の悩みを話し合おう!⑤」をテーマに、日々の保育の悩みを語り合いながら参加者全員で学びを深めることができたらと思います。

12月19日(水)14~16時
尚絅大学武蔵ヶ丘キャンパス 管理棟2階 尚絅子育て研究センター室にて開催いたします。
お問い合わせ先:096-338-8840
メール:kosodate@shokei-gakuen.ac.jp、担当:増淵

報告者:高村先生(尚絅こども園)
報告者:本田先生(おひさま保育室)
報告者:廣田先生(みいな保育園)
今回も活発な意見交流ができました!

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