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【尚絅子育て研究センター】第7回乳児保育研究会を開催しました!

「実践カンファレンス:保育の悩みを話し合おう!③」

2018年10月24日(水)に、第7回乳児保育研究会を開催しました。今回は、はつのあそびの森のこども園の岩坪先生と、カトレア保育園の西元先生に、それぞれ日々の保育や子どもたちの様子について報告していただきました。

まず初めに、はつのあそびの森こども園の0・1歳児担当の岩坪先生から、身体の細い子どもやO脚が目立つ子どもについて話してもらいました。特に身体の細い子どもについて、その子どもが抱える家庭の背景や母親の今の状況(地理的な問題で親族からのサポートを受けにくい等)も踏まえながら、子どもの姿に応じて試行錯誤しながらかかわってこられたそうです。

報告を受けて、母親の安定が子どもの安定につながることを意識することを確認しました。その上で、園での子どもに対するかかわりとしては、不安な気持ちを受け止めながらその子自身に「園が安心できるところなんだ」という気持ちが膨らむことができるようにしていくこと、(食事に対しては前向きな姿があるため)食事をきっかけに動きが広がるように働きかけてみたり、心の拠り所となる時間や物を作ってみてはどうかという意見が出されました。また、そのためには保育者が向ける眼差しを見直していきたい(可哀そう・どうにかしたいという眼差しではなく、いいよ、そうだよね、安心してねという眼差しは違うのではないか)という声も挙がりました。さらに、話を進めていく中で、生活リズム(特に睡眠)が定まっていない実態も見えてきたため、家庭とじっくり相談しながら睡眠についても取り組んでいく必要があるのではないかという話も出ました。

これまでの研究会でもよく議論となりましたが、子どもへの対応を考える時には、その子の生活背景にまで思いを寄せ、読み解いていくことが必要となってきます(そして多くの場合が、親自身が抱える不安や苦しみ、子育てのしにくさ等ではないでしょうか)。岩坪先生は最後に「これから踏みとどまらずに一歩踏み出して子どもや母親に伝えていきたいと感じました。」と話されていましたが、子どもの得意なこと・好きなこと等できるだけ肯定的な面を足掛かりにして、働きかけていくことを忘れずにいたいものです。

次にカトレア保育園の西元先生からは、「噛みつき」と「離乳食」について、担任されている1歳の気になる子どもの様子をご報告くださいました。特にクラスの中に、保育者や友達へよく噛みついてしまう子どもがいるとのことです。また、その子どもは園や家庭での睡眠のリズムも不規則であり、子どもの生活の中に母親との関係性が見えてこない子どもでもあるとのことでした。

西元先生は、今回報告するにあたりその子どもを観察していく中で、その子はきっと人一倍「認められたい・見て欲しいという気持ちが強いのではないか」と思うようになったと話しておられました。こうした一見問題行動と呼ばれる行動の見方を捉え直すことはとても重要なことであり、そうすることで子どもに向ける眼差しが変わり、子ども理解が深まっていくのだと思います。噛みつく姿を、人とのかかわりを求めている子どもの姿と捉えた時、保育者のかける言葉とまなざしはきっと変わっていくのでしょう。

参加者たちからも、「保育者:子ども=3:1という(十分とは言えない)基準の中で、担当制など、保育者は様々に工夫しながら対応策を講じているけれど、本当の意味で子どもに向き合っているかということを考えたい。」「噛みつきを見張る・監視するではなく、私がゆっくりじっくり遊んであげるよという姿勢で受け止めることが大切ではないか。」、「『行為は言葉である』ということを職員で確認していきたい。」「未満児には「ダメ」という禁止は入りにくい。禁止ではなく、気持ちを「認め」て「促す」ことを丁寧に繰り返し、根気強くすることが一番の近道だろう。」といった声が挙がりました。

おおよそ1歳頃に自我が芽生えてきますが、この時期の子どもは自分を尊重してくれているかどうかにとても敏感です。だからこそ身近な大人による“受容と共感”そして気持ちの“代弁”が欠かせないのですが、そこで大切なことは、単なるスキルや保育行為としての共感や代弁ではなく、保育者の心が子どもと共に動き、子どもの気持ちに寄り添う真の共感なのではないでしょうか。

最後に西元先生からは、「子どものダメなところばかりに注目していたと気付き、反省しました。ここで聞いたことを実践してみたいと思います。」と話されていました。

今回の研究会でも、現場の先生方の率直な悩みや思いが出されるなかで、参加者同士で共感し合いながら、有意義な時間となりました。

(文責:二子石諒太)

 

次回の研究会も引き続き「実践カンファレンス:保育の悩みを話し合おう!」をテーマに、日々の保育の悩みを語り合いながら参加者全員で学びを深めることができたらと思います。報告者は、おひさま保育室、とことこ・みいな・ことな保育園、尚絅附属こども園さんからです!

11月28日(水)14~16時、尚絅大学武蔵ヶ丘キャンパス 管理棟2階 尚絅子育て研究センター室にて開催いたします。ぜひ、お誘いあわせの上、ご参加下さいますようお願い申し上げます。

報告者の岩坪先生
報告者の西元先生
さまざまな視点と実践経験から議論しました

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