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【尚絅子育て研究センター】第6回乳児保育研究会を開催しました!

第6回乳児保育研究会を開催しました!

テーマ『胎児からの口の育ちと全身の健康』

講師:矢島由紀氏
(ゆきデンタルクリニック院長)

 

平成30年9月3日(月)に、第6回乳児保育研究会を開催しました。今回の研究会では、佐賀市のゆきデンタルクリニックの矢島由紀院長を講師にお招きし、様々なデータや事例などをご紹介いただきながら「胎児からの口の育ちと全身の健康」というテーマでご講演をしていただきました。

矢島先生は、種々の病気と口腔内の関連について研究されており、「難病(アトピーやリウマチ、癌など)の人たちは口呼吸をしていたり、歯並びが悪い・虫歯がある人が多い。そのため、風邪や鼻炎等の喉・鼻・口のトラブルがしばしば起こり、そのことが病巣疾患(遠隔の臓器に二次的疾患を引き起こすこと)に繋がっている」と話されていました。

そのために大切なこととは、ずばり乳幼児期から「口を閉じる」ことだそうです。(ふんわり閉じるのではなく、ピッタリ閉じる!目標は1歳までに口唇閉鎖ができていることだそうです!)

口呼吸での問題点は、顔や口、歯並び、姿勢の歪みを引き起こすと同時に、浅く速い呼吸になることで換気量が低下し、低酸素血症や低体温症になること、さらにはそれが学力や運動能力にも影響を及ぼすのだそうです。そして、口の中の状態と関連している疾患は多くあるそうで、口腔内の状態を整えることが全身の健康管理のためには非常に大切であるとのことでした。実際に、重度のアトピーや姿勢の歪みのある子どもたちが、口の中の環境や顎の筋力を改善するトレーニングを受けたことで、みるみる回復・改善していった事例を紹介していただきました。

したがって、普段の生活の中で、なるべく鼻で呼吸をすることが大事であり、そのために日々のお風呂の中で深呼吸をして練習したり、「あいうべ体操」と呼ばれる舌の筋力トレーニングをしたりすることを教えていただきました。また噛み応えのある食べ物をしっかり噛んで食べること、正しい姿勢をとることがいかに重要性かということもお話してくださいました。しかし、こうした口と健康との関連は、一般的にも、特に子育て中の保護者にもほとんど知られておらず、歯科だけでなく子どもとかかわる大人(保育者)が共に連携して啓発活動や指導に取り組む必要性があるとも話されていました。

また、最後の質疑応答の時間では、参加者から自分の園での気になる様子が見られる子どもについて相談がいくつも出されました。矢島先生は「最近の子ども達は胎児の段階からストレスにさらされている場合も多く、精神的・身体的に緊張状態にある子どもが多い。温めた手で触ってあげたり、優しく撫でたり擦ってあげることで身体を毎日ほぐしてあげてほしい」と仰っていました。

おそらく、現状として、口と健康の関連について理解し、意識して取組みを行っている園や保育者はとても少ないのではないでしょうか。しかし、矢島先生によれば保育園生活の6年間で(保育者や歯科医が気付かない内に)口内環境が大きく改善していっているケースはいくつもあるのだそうです。多くの園で年に数回の歯科検診は実施しているかと思いますが、矢島先生が言われたように、今後はより意識しながら保護者たちへの啓発や情報提供をしていく必要があると感じました。初めて聞いたり知ったりしたことも多く、今回の研究会もとても有意義な時間となりました。

(文責:二子石諒太) 【参考】講演配布資料

 

次回の研究会は、1024日(水)1416時、「実践カンファレンス:保育の悩みを話し合おう②」をテーマに、参加者で実践を振り返りながら学び合いたいと思います。

場所:尚絅大学短期大学部(武蔵ヶ丘キャンパス)管理棟2階 尚絅子育て研究センター
お問い合わせ先:096-338-8840(事務代表)
メール:kosodate@shokei-gakuen.ac.jp(担当:増淵)

講師の矢島由紀先生(左)
保育の中でも意識していきたいですね!

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