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【尚絅子育て研究センター】第3回乳児保育研究会を開催しました!

第3回乳児保育研究会を開催しました!

『実践カンファレンス:保育の悩みを話し合おう!②』

 平成30年6月27日(水)に、第3回乳児保育研究会を開催しました。今回は、「実践カンファレンス:保育の悩みを話し合おう!」をテーマに、さくらんぼ保育園の石嶋先生、ひまわり保育園の長島先生、白梅幼稚園の薮先生・宮内先生にそれぞれ報告をしてもらいました。

 さくらんぼ保育園の石嶋先生からは、0歳児クラスの子ども達の様子について特に身体の硬い子どもについて報告してもらいました。また、そこに関連しているのか呼吸が浅い、手足の細さが目立つ、丸く抱っこすることや横抱きを嫌がる、ミルクを飲む時の突っ張りやのけぞり等々、気になる様子が多くみられるため、その対応に悩んでいるとのことでした。

 報告に対して研究会のメンバーからは、園でできる取組みとして、「まず子どもの身体を意識的にほぐしてあげるために、マッサージをしてみたらどうか」、「触られることを嫌がる様子があっても服の上からやさしく撫でことから始めて、必ず園で一日〇回するなど決めて行うことが重要」、「目線を合わせて優しく語り掛けながら、とにかく触る、どこが喜ぶかなと試し、考えながら行うようにすると気づくことがある。」「生活の中で身体を動かす場面をつくるために、保育室に傾斜を作る等の工夫が必要では」などといった意見が出ました。

 また、近年の子どもの育ちの様子について、ベテランの保育者たちから「いわゆる平均的な子どもの発達の姿や順序性とは違うと感じることが増えている」「一昔前の子どもの姿の違いに戸惑うことも少なくない」というような声が出されました。近年の子どもと子育て、家庭生活を取り巻く環境の変化により、親の都合や利便性を求める流れに対して、様々な場面で保育者は悩むことが多いようです。一見便利そうに見える物の中には、子どもの育ちの機会が奪われてしまうような物が多くあるのではということが話題に上りました。育児分野の市場化・商業化とも言える現状にある中で、保育者として「子どもの成長を考えると~したらよいのでは…」という保護者に対する思いと、それでも「保護者の置かれている状況を考えると強く言えない…」という気持ちと、複雑な思いを抱く現場の保育者達の姿がありました。しかし、子どもの育ちに責任ある保育者として、クラス・園便りや連絡帳、家庭訪問、家庭の状況調査票の活用などを通じて保護者への啓発を地道に丁寧に行っていくことの必要性を全員で確認し合いました。

 次に、ひまわり保育園の長島先生からは、1歳児クラスのある子どもの様子について報告してもらいました。その子どもは体調を崩しがちで登園日はかなり少なく、週に1~2日の時もしばしばあるそうです。また、園では食事も殆ど摂らず母乳をずっと飲んでいる(それも飲むというより咥えているだけ)という姿があるとのことでした。長島先生はそうした子どもや保護者に対してどうかかわっていけばよいかということについて悩まれていました。

 研究会のメンバーからは「どうやって食べさせるかというよりも、まず先生との関係性を築き、園が安心できる場と思ってもらえることが大事ではないか」という声が挙がりました。また、長島先生はその子どもを観察する中で、0歳児クラスに行った時に、少人数でゆったりとした雰囲気の中なら、動き回ったり、椅子に上って見せたりする姿もあるということに気付かれたそうです。その気付きを受けて、参加者からは「0歳児クラスの方が居心地が良いのでは?過ごす場所を思いってきって変えてみるのも一つの手ではないか」、「同じ1歳クラスの友達側も、たまにしか登園してこない友達を受け入れる気持ちが整っていないのでは?」という意見も出されました。場合によっては保護者と相談の場を設けながら、下の年齢の子ども達との関わりを意識して取り入れたり、他のクラスで過ごすことを認めたりすることにより、その子どもにとって一番安心でき安定した生活を保障してあげることが大切なのかもしれません。そのためには園の職員集団が一丸となってその子どもを支えていくという姿勢で体制を整えていく必要があるでしょう。またそうした援助は、他の子ども達の育ちも保障することにもつながります。長島先生は、これから丁寧に触れ合って少しずつ関係性を築いていきたいと最後に話されていました。

 白梅幼稚園の薮先生と宮内先生からは、日々の保育の中で抱えている様々な悩みを報告してくださいました。ここではその中の幾つかの質問とそれに対するメンバーの意見について報告します。

 まず、クラスにいる自傷行為が見られる子どもに対してどう対応すればよいか、また、自傷行為を少なくするためにはどうすればよいかということについて質問をされました。まず前提として、1歳の時期とは、徐々に自我が芽生えてくる時期であり、子どもの中に一人の人間として尊重されたいという欲求が表れてくる時期でもあります。報告の子どもは、自分の思いが他者に遮られた場面で自傷行為がよく見られるとのことでした。メンバーからは、「『~したらダメ』や『~しないで』という禁止や否定の言葉で、行為を止められるのはつまり、私を受け止めてくれていないと感じていると思う。まずは、その子どもの思いに徹底的に共感することが基本であり、その積み重ね以外方法は無いのでは。」との意見が出され、「その他の注目を集める方法や代替の表現方法を伝えてあげるのも一つの手では」という意見も出されました。

 また次に、クラスの子どもに離乳食を食べず、また身体の筋力の育ちの乏しさがある子どもがいるとのことでした。そのため、咀嚼力や体幹を養うにはどうしたらよいかという質問が出されました。メンバーから「ずり這いやハイハイを腕の力をつけることが大事。そのことが咀嚼力にも繋がってくる」「うつ伏せが楽しくなるように遊びを考えてみてはどうか。その時呼吸が楽になるようマットやタオルを丸めて胸の下に入れてあげると良い。」「寝返りもしっかりとさせたい。その時は足をしっかりと上に上げてから寝返りができるよう介助をしていくと良い」などの意見が出され、食事や運動、睡眠のトータルの視点で子どもを観察していくことの大切さを確認しました。

 続いて、外国籍の保護者とのコミュニケーションはどのようにとればよいのかという質問も投げかけられました。園には外国籍の家庭の子どもが通っているようで、食事のことでなかなか上手くコミュニケーションが図れていないと感じることがあるのだそうです。同じように外国の子どもが在籍しているという園のメンバーから「お母さんも同じように伝わらないことで不安に感じていることもあるはず。お母さんに慣れてもらうため園での生活を一度見てもらったことがあった」ということを教えてくれました。またその他にも、「日本語が上手ではなくとも子どもの園での食事場面や遊びの様子を動画や写真で伝えたり、反対に家庭での食事の様子を写真で撮ってきてもらったりしてみてはどうか」、「食事については、子どもが慣れるまではお弁当を作ってきてもらう等の提案をしてみてはどうか」というアイデアも出されました。世界的にグローバル化が進む中で、日本でも外国籍の子どもとその家庭をどう支えていくかはこれからの重要な課題の一つであるとも言えます。

 3園の先生方には日々の保育の中で感じている多くの悩みや葛藤を話してくださいました。昨年度の研究会を通して確認をしてきたことでもありますが、やはり子どもの生活や育ちを考える際は、一つの側面だけを切り取るのではなく、食事や運動、睡眠と遊びの全体をトータルで考えていくことが重要であると改めて感じました。

 また、核家族化が進む中で、日々孤軍奮闘しながら子育てに励む保護者を支えながらも、子育てや発達についての知識、あるいは子どもを育てるという“姿勢”について保育者が提案していきながら、リーダーシップを発揮することも場合によっては必要であると強く感じました。引き続き、参加者全員で学びを深めていくことができればと思います。 

              (文責:二子石諒太)

 

 次回の研究会は、7月18日(水)14~16時、「実践!わらべうた」をテーマに、佐藤レイ子先生(小さな森の保育園)を講師としてお招きし、全員でわらべうたを楽しみたいと思います。

 場所:尚絅大学短期大学部附属こども園遊戯室

 *動きやすいズボンスタイルでお越しください。タオルやお茶もお忘れなく!

 お問い合わせ先:096-338-8840(事務代表)
 メール:kosodate@shokei-gakuen.ac.jp(担当:増淵)

さくらんぼ保育園の石嶋先生
ひまわり保育園の長島先生
白梅幼稚園の薮先生・宮内先生

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