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【尚絅子育て研究センター】第6回乳児保育研究会を開催しました!

テーマ『遊びについて①』

 2017年9月27日(水)に、第6回乳児保育研究会を開催しました。今回のテーマは「遊び」についてです。「白川保育園」の西元千鶴先生に、子どもたちが遊んでいる様子や環境構成の写真と、実際に遊んでいる玩具等を見せていただきながら報告してもらいました。

 西元先生は、この研究会での報告に向けて、改めて0歳児クラスの子どもたちの遊びについて観察し直すとともに、その遊びの中でどのような育ちが見られるのか職員間で一緒に考え合ったとのことでした。そのように取り組んでみると、目の前の子ども達の一つひとつの遊びの意味を推し量っていく中で、0歳児クラスでの子どもの遊びには、「親子(保育者-子ども)のコミュニケーション・信頼関係を支える遊び」と「指先や手足、歩行などの基礎的な身体機能を育む遊び」の2つがあると感じたそうです。

 「親子(保育者-子ども)のコミュニケーション・信頼関係を支える遊び」とは、親子、または保育者と子ども間でのスキンシップを大切に、あやし遊びやマッサージをすることで、温かい雰囲気の中でじっくりと触れ合える時間をできるだけ大切にし、保育の中に位置づけているとのことでした。

 今日の家庭では育児不安を抱え、子どもとどうコミュニケーションを取れば良いのか分らない親の存在や、働きながらの子育てで我が子とのかかわる時間を十分にもてないという実態が指摘されています。しかしながら、応答的なかかわりのあるコミュニケーションは、乳幼児期以降の認知面や社会性の発達、そして養育者との愛着関係形成において、大きく影響する重要なものです。

 参加者メンバーからは、自園でも意識的に1日の中でじっくりとコミュニケーションの時間を取っているといった声や、両親に乳児への具体的な遊び(コミュニケーションの方法)の仕方を伝えているといった声が聞かれました。

 「指先や手足、歩行などの基礎的な身体機能を育む遊び」は、具体的には、握る・つまむ等の手先を十分に使えるようにモールや洗濯ばさみなどを玩具と組み合わせたり、手足の粗大運動を促進するためにトンネルや階段、築山での遊びを積極的に行うこと、そして、つかまり立ちや伝え歩きに挑戦できるよう手押し車や平均台などを用いたりしているとのことでした。

 子どもは、0歳から1・2歳にかけて運動機能が高まっていくと同時に、自分の力で移動する手段を身に付けることで生活世界を広げていきます。特に歩行機能の獲得とはその最たる例でもあります。目線が高くなり、自分の行きたいところに行けるようになることで、これまでの身の回りの世界は劇的に変化します。しかしながら近年は、居住環境によって十分にハイハイをしたり動き回ったりすることのできる空間が取れない等の問題もあります。また、過度な安全への意識もあってか、子どもの生活の中から段差を取り払ってしまうことも少なくないようです。

 参加メンバーからも、そういえば最近は子どもが階段を上り下りする場面が無いのではという気づきが出されました。中には、子どもが自分で上り下りできるように保育室や園庭にロフトや階段を作っている園もありました。このことは、子ども達の生活環境の実態を考えながら保育の場でどのような遊びや経験が必要なのかを見極め、環境構成や保育内容を設定していくことの重要性が以前にも増して高まっていることを意味しているように思います。

 西元先生は報告を終えて、「今回、この報告のために改めて子どもたちに必要な環境や遊びは何だろうと常に考えるようになり、そうすることで、子ども達が自分で遊んでいる姿を見ている時に『次はこんな遊びをしてみようか』と職員でアイデアが出てくるようになった。」と話されていました。子どもの遊びを考えるということは、その子どもの生活を捉えるとともに、保育者の願いが込められた眼差しを向けることです。保育に携わる者の中で共通認識となっている“保育・幼児教育の基本は遊び”という大原則を、改めて全員で確認することができた、有意義な研究会となりました。

次回の研究会は、「排泄について」をテーマに考え合いたいと思います。

次回は10月25日(水)14~16時、尚絅大学武蔵ヶ丘キャンパス 管理棟2階 尚絅子育て研究センター室にて開催いたします。

お問い合わせ先:096-338-8840(代)
メール:kosodate@shokei-gakuen.ac.jp、担当:増淵

(文責:二子石)

報告者の西元千鶴先生(右
遊びの様子を写真でも拝見しました。
0歳児が使用する手作りおもちゃは、発達のことも考えられています。
引退を迎えた参加者から、手遊びと最後のお便りをご披露いただきました。

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