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【尚絅子育て研究センター】第4回乳児保育研究会を開催しました! テーマ『 食事について② 』

7月26日

 第4回乳児保育研究会を2017年7月26日(水)に開催しました。今回のテーマは、前回に続き、食事についてです。今回も、日々実践に取り組まれておられる現場の2名の先生から事例をご報告していただき、それを元に参加者全員で学び合いました。

 最初に、ひまわり保育園の中村先生から0歳児クラスの子どもについての報告がありました。中村先生は、苦手なものを吐き出したり、自己主張の高まりからか食事に対するイヤイヤが多く見られる子どもにどう対応すべきか悩まれているとのことでした。研究会メンバーの中からも、1歳児クラスの中に、家庭で味のあるものを早くから食べているためか、おかずは食べるものの白ご飯を指で口から掻き出す子どもがいて悩んでいるとの声もありました。

 そうした中で、試食会を設け、母親に実際に食べてもらうことで薄味の大切さに気付き、理解してもらう取組みをしている園もあるそうです。食生活をはじめ、大人の生活に合わせられがちな現代の子ども達ですが、子どもの健やかな育ちのために、時に保育園がリードしながら積極的に家庭との連携を進めていかなければなりません。また、吐きだしたり嫌がったりする子どもの姿を大人がどう捉えるのか、どう受け止めてあげるのかということも話題となりました。子どもにとって手づかみで食べたり、じっくりと咀嚼したりすることは同時に食材を確かめているということでもあります。保育者が「あなたは今じっくりと確認しているのね」と捉えるのか「食べないとダメでしょう!」と捉えるのかで、子どもの食への意欲や関心は大きく左右されます。他にも、味覚の発達は年齢と共に育ってくるため、決して無理強いはせず他で補完できる献立を考えていくことや、5歳までに5つの味覚を覚えていればいつかは食べるのではないか?という長期的な視点で見守ることの大切さについても意見が出されました。中村先生も、ご自身でその点について意識されたようで、最後に「これから、自分の子どもを捉えるまなざしを見直していきたい。」と振り返っておられました。

 次に、さくらんぼ保育園の白石先生からは、食べない子どもではなく、反対に食べ過ぎではないかと心配している子どもの姿を報告していただきました。0歳児クラスの子どもで、まだ食べたいと泣いたり怒ったり、友達の分までも取って食べようとする子どもがいるそうです。白石先生は、これまで母親と話をしてきた中で、食べるものが固定化されていたり、家族が朝ごはんを抜いたりするなどの、いわゆる固食や欠食といった状況にあることが分かり、それをどう保護者に伝え改善のために意識してもらえるのかといった、家庭との連携の仕方を含めて悩まれているとのことでした。

 研究会メンバーからは、「家庭での様子を聞いた限りでは、もしかするとその子どもが一番食事から遠い子どもで、食べ過ぎているのではなく、満たされずに欲しているのではないか。」「固定化されている食事では、栄養に偏りができてくる。量ではなく、栄養素で考える保護者は多くない。」といった声があがりました。そのために、まずは家庭での食べ物の栄養素について、今後の子どもの育ちを見通せるような具体的なアドバイスをすると同時に、食事をする時の環境(食卓を囲む風景)についても工夫が必要であることを伝えることが大切だろうといった意見が多く出されました。また、満腹中枢時代はおおむね2~3歳頃になって形成されるということもあり、保育者が「おしまい!」と言って止めるのではなく、「たくさん食べたね。こんなにお腹が大きくなっているよ。おいしかったね。」と声を掛けながら気付かせていくことも重要であるという意見も出されました。

 乳児期における食とは極めて大切なものでありますが、それだけに子ども達の食べない、或いは食べ過ぎるという姿に保護者はもちろん保育者でさえも敏感になり、時に頭を悩ませることがあります。その時に私たち保育者が大切にすべき視点とは、食事の「量」よりもむしろ「質」の方ではないでしょうか。繰り返しですが、乳児期の食は重要なものです。「質」を高めるためには、単に「何を食べるか」「どれだけ食べるか」という見方だけでなく、その子どもを取り巻く生活環境や運動、遊びの様子、またはこれまでの成長・発達の経過からその子どもに必要な援助を見出していくことが質の高まりには必要不可欠でしょう。

 今回の研究会も含め、2回を通して「食事について」をテーマに学びを深めてきましたが、やはり食と運動と発達は密接に関連しており、これらの豊かな育ちを支える生活を家庭と共に創り上げていくことが現代の保育者に求められていると改めて強く感じた研究会でした。

(文責:二子石)

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