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【尚絅子育て研究センター】第18回公開シンポジウムを開催しました!

本年度は、猛暑の中でしたが8月5日(日)に尚絅大学武蔵ヶ丘キャンパスにて、第18回公開シンポジウムを開催することができました。今回も200名以上の参加者に恵まれ、学び合いの時間をみなさんと共有することができました。

第1部の講演では、「子どもの心の育ちを読み取るエピソード記述―真の保育の評価とは何か―」というテーマで、京都大学名誉教授の鯨岡峻先生からご講演いただきました。とくに印象的だったのは、私たち人間には誰しも心の中にマイナスの心もちとプラスの心もちがあるということ。だからこそ、子どもの行動面で善悪を判断するのではなく、その子の思いを受け止め、その心を汲んでくれる保育者の「養護の働き」が重要であり、できるだけプラスの心もちに近づけられるように導くことが「教育の働き」として必要となるということでした。今は、どちらかというと「養護の働き」が弱くなり、「教育の働き」も真にその子にとって必要なものへと導いているかと言うと、疑問視されることもしばしばあると言われています。そのような中で、今こそ、エピソード記述を通して保育を振り返ることが求められてくるのです。

そこで、第2部のシンポジウムでは、「子どもと心を通い合わせた保育をどうつくっていくか―保育のエピソード記述を通して―」というテーマで、あゆみ保育園保育士の佐藤章子先生、尚絅附属こども園保育教諭の亀山柚香先生から、それぞれ保育の中での子どもとのエピソードを報告していただきました。佐藤先生からは0歳児の子どもと保育者の関わりについて、亀山先生からは虫の飼育を通した5歳児の子ども同士の成長の姿をお話いただきました。エピソード記述として、子どもと保育者、子ども同士の心と心が通じ合った瞬間である「接面」をクローズアップして描くことは決して容易なことではありません。しかし、それを意識することによって、より深く子どもを理解し、保育の営みを振り返ることができます。両先生方も大変ご苦労して実践を綴り、報告して下さいました。鯨岡先生からもお二人の記録にそれぞれコメントを下さり、光り輝く「接面」の宝をご指摘くださいました。

今、保育を進めて行く上で、実践→評価→反省・課題→計画→実践の一連の流れがどのように深く、子ども理解に根差して行われているかが問われています。保育の評価をする場合も、鯨岡先生からお話いただいたように、「養護の働き」と「教育の働き」が子どもと保育者の「接面」を伴いながらいかにバランスよく行われているか、そこにより一層、着目して保育を振り返ることが重要となります。

今回報告して下さった先生方は、日頃から乳児保育研究会等でも共に実践研究を重ねている方々です。今後も、この学びを活かして、保育研究の発展に取り組んでいけたらと願うばかりです。ご参加下さった皆様、本当にありがとうございました。

(文責:増淵千保美)

200名以上の参加者の皆様に感謝!
講演講師の鯨岡 峻先生(京都大学名誉教授)
0歳児の実践報告をして下さった佐藤先生
5歳児の実践報告をして下さった亀山先生
フロアからのご発言もいただきました!
対談を通してより学びが深まりました!

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