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【尚絅子育て研究センター】第12回 乳児保育研究会 ~テーマ『2歳児の一年を振り返って』(報告:山都町立浜町保育園)~

今年度最後の乳児保育研究会が3月9日(木)、尚絅こども園保育棟にて行われました。卒園式前のお忙しい時間を、各園からメンバーの皆さんが集まってくださり、一緒に考え合い、話し合い、学びあう時間をもつことができました。

今回は、この3月末日で閉園する山都町立浜町保育園の主任保育士、平田洋介さんから「2歳児の一年を振り返って」というテーマで報告していただきました。浜町保育園は、今年度、全園児14名でスタートしました。2,3,4,5歳児が一クラスで過ごしているのですが、平田さんは担任を離れてフリーという立場で子どもたちと関わることとなり、行事などでは平田さんも保育に入り、柔軟に対応してきたそうです。

浜町保育園では、豊かな自然の恵みを受けながら「食べること」「遊ぶこと」を子どもたちと共に楽しみつくり上げてきました。その中から、こども自身が発見し、仲間と感動を共有し、ふしぎ心を膨らませながら科学する心を育て、やがて就学期へとつながっていけるよう、保育者同士がこどもの現実から出発して話し合い、保育内容を創造しているのです。平田さんは、「保育計画はあってないようなもの。なぜなら、目の前のこどもたちは刻々と変化しているから。私たちはそこにこそ目を向けて、保育をつくっていかなければならない」とおっしゃっていました。

そんな取り組みの中で、ある2人のきょうだいの事例を紹介していただきました。年度当初は、地震や大雨の影響で、別の児童館で避難保育をしなければならなくなりました。本来であれば、4月に家庭訪問をするはずだったのですが、それもなかなかできなかったそうです。2人の子どもたちの様子を職員会議で話し合う中で、やはり「担任が家庭訪問をして生活をつかんでくること、そこからしか保育内容をつくることはできない」と確認しあいました。訪問後は、地震や大雨のことよりも、家庭の生活に根ざした課題があることに気づき、保育の中で取り組む課題の糸口が見えてきたそうです。

まずは、不安な気持ちを抱える2人が好きな遊びや運動は何か?と、つぶさな観察をもとに話し合いました。そして、担任から「避難中は跳び箱を喜んでしていた」ことが出され、そのことをもとに平田さんは運動会の内容を作っていくことを提案しました。その時の会議では、「跳び箱を飛べるようになることが目的ではなく、運動会の練習を通して、『跳び箱したい!早く保育園に行きたい』と思えるようにすることが目的である」と確認し、「家でも楽しそうに運動会の練習のことなどを話すようになれば親も安心する。そうして、運動会をきっかけにこどもと親が安心することを目指す!」と職員間での共通理解を深めたそうです。

運動会が終了し、保育園では総括会議を行いました。担任から「朝の様子はあまり変わらなかった」と報告がありました。ここで、「保育の中では楽しんでいたことは事実だが、まだ2人には私たちの保育が届いていなかったのでないか」と総括し、日々の保育をさらに丁寧に紡いでいくこと、またお楽しみ会(発表会)でさらにこの課題について取り組んでいくことを確認したそうです。すると、親御さんから「お楽しみ会の練習が楽しいみたいで、家でも話しています」と言われるようになりました。朝の登園時の姿にも笑顔が見られるようになり、親とも対話を重ねながら子どもの育ちを喜びあっていったそうです。平田さんはじめ、職員の方々は「発表の見た目やできだけに心を砕くのではなく、子どもたちの姿で保育の成果と課題を検証していくことが大事である」と話し合いました。「どんな状況であっても暮らしを知り、子どもをみて、そこから保育内容を創り出すこと。そうでなければ子どもに保育を届けることはできない」と、この1年を振り返って、平田さんは語っていらっしゃいました。私たちも改めて、子どもたちとおもいっきり遊び、くらし、子どもたちの思いや願いを叶えていく、そんな保育をつくりながら、共に悩み、喜び合う仲間づくりに取り組んで行きたいと感じました。

今年度も様々なテーマ、視点から、乳児保育について実践に根ざした共同研究を行ってきました。来年度は、食事、排泄、睡眠、あそび、リズム運動の5つのテーマを設定し、実践報告を踏まえて乳児保育で大切にしていきたいことを考え合っていきたいと思います。ぜひ、4月から一緒に楽しく、話し合い、学び合いましょう!

(文責:増淵千保美)

【平成29年度 第1回 乳児保育研究会のご案内】

とき:4月26日(水)14:00~16:00 

テーマ:『研究会のテーマ(食事・排泄・睡眠・あそび・リズム運動)と報告について』

(第1回は、1年間の研究会の日程と上記に関するテーマ、報告者について、参加者メンバーと話し合い、皆さんの都合に合った計画を立てて行きたいと思います。)

場所:尚絅大学武蔵ヶ丘(旧楡木)キャンパス管理棟2階「尚絅子育て研究センター室」(住所:菊陽町武蔵ヶ丘北2-8-1)
※4月から会場が上記の場所に変更しています!

 

*お誘い合わせの上、ぜひご参加ください!お待ちしております!

【連絡先】096-338-3340(武蔵ヶ丘キャンパス事務代表)
     096-273-6330(増淵研究室直通)
【メール】kosodate@shokei-gakuen.ac.jp
     (担当:増淵 千保美)

報告者の平田洋介さん
みなさん、真剣に聴き入っています。
多くの意見を交流させることができました。
疲労回復にテルミーをかけてもらいました。

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