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【尚絅子育て研究センター】第7回乳児保育研究会を開催しました!~テーマ『寄り添う保育って何だろう?』(報告:小さな森の保育園)~

 秋風に木の葉の舞い散る季節となりました。尚絅子育て研究センターでは、先日10月27日(木)に附属こども園保育棟・子育て支援室「どんぐりルーム」にて、第7回乳児保育研究会を行いました。

 今回のテーマは、「寄り添う保育って何だろう?」というとても深い内容でした。報告者は、小さな森の保育園で0歳児を担当している曽山唯さんです。ご自身も母親として子育てをしながら保育の仕事に携わっていらっしゃいます。

 小さな森の保育園では、0~2歳児までの保育を行っており、「信頼関係」「子どもの心の成長」「自己肯定感の育成」をめざして、日々の保育を実践しているそうです。曽山さんは、現在、0歳児クラスで4名の園児をもう一人の保育者と一緒に担当しています。毎日繰り返される生活の中でも、一人ひとりに寄り添いながら丁寧に関わる「おむつなし育児」を実践したり、信頼関係の大前提として一対一の関係を大切にした「わらべうた」遊びを行っています。また、戸外では、探索活動をする子どもの意欲、興味を共有しながら、その成長を見守っているそうです。

 曽山さんは、「その時その時の子どもの気持ちや行動に寄り添って言葉かけを行い、さらに興味・関心が深まるように保育者がしっかり環境を整えていくことで、子どもの意欲が高まると思います」と、自らの実践を振り返って語って下さいました。また、「自分でやってみたい」「○○したらどうなるかな」という気持ちを自ら考え、主体性を持って行動するためには、言葉だけの理解ではなく、体を使って感じてみてという体験が子どもの意欲につながっていく」ともおっしゃっていました。

 これらのことは、生活場面においても、遊びの場面においても共通して大切な視点であると思います。そして、そこには、個人差で排泄の間隔をつかんでトイレに誘い、一人ひとりに丁寧に関わり、おしっこが出た気持ちよさや嬉しさを保育者と子どもが共感し合う関係や、わらべうた、触れ合い遊びを通した保育者やお友だちとの信頼関係があってこそなのでしょう。「寄り添う保育」とは、そのような関わり合いの中でこそ生まれる保育なのだと、改めて学びました。

 曽山さんからは、悩みや今の保育の問題点についても事例をあげて下さいました。「自分の思いとは違うことに泣いてしまう。泣き始めたら止まらなくなる子への対応はどうすればよいのか?」「食べ物の好き嫌いが出てきて、嫌いな物があると投げたり、手でぐちゃぐちゃしたりと遊ぶ姿が見られる。自分で食べないと気が済まないため、保育者が口に入れようとしても食べない。どのような対応をすることがよいのか?」など、「寄り添う」という観点からメンバーで考え合いました。

 そこでは、さまざまな意見が出てきました。「発達的に1歳半の壁を超える時期には、子どもの思いや主張に私たちがどれだけ寄り添っていけるか、大人も子どもの目線になって考えてみることが大切ではないか」、「子どもが夢中になっていることには意味があるので、そのことを認め、受け止めながら、泣いたときその子の気持ちを代弁して自分から立ち直れるまで見守ることも必要」、「体の面で不快感やストレスを感じている時、子どもはそのやり場がなくて泣いてサインを出してくれている時もあるので、午睡前などにケアしてあげるのもいいのではないか」、「食べることに飽きてしまうのは、午前中の遊びが足りず、まだお腹がペコペコになっていないのではないか、もう一度見直してみては?」「新しく出会うおかずに興味を持てるよう目の前でよそってあげるのはどうか?」などなど、多くの気づきをいただきました。また、座る姿勢やそのためのイスの選び方、食事や睡眠の環境づくりについても各園での実践が紹介され、学ぶところの多い会となりました。

 「寄り添う保育って何だろう?」とても深いテーマで、まだまだこれから考え続けなればならない課題ですが、保育者がお互いに実践と意見を交流させることで、よりよい保育をめざしていけるのではないかと実感しました。今回もありがとうございました。

(文責:増淵千保美)

 子育て研究センターニュース20161101-1 子育て研究センターニュース20161101-2
報告者の曽山唯さん写真も交えて実践をご紹介いただきました。
子育て研究センターニュース20161101-3
子どもの食べる姿勢を考えたイスや環境についても話し合いました。

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