お知らせ 子育て研究センター
【尚絅子育て研究センター】第9回 乳児保育研究会を開催しました!
どの園でも、節分の豆まきで盛り上がった2月3日(水)、第9回乳児保育研究会を開催しました。今回は、本学附属尚絅幼稚園の教諭から、「保育の中で」というテーマで、子どもとの関わりを通して報告していただきました。
尚絅幼稚園では、入園当初は教師との信頼関係を築くことを基盤にし、「好きな遊びを存分に経験しながら一緒にする楽しさを味わう」ことを目標としながら保育を行っています。近年では、入園する幼児の生活経験がそれぞれに異なり、排せつ面や食生活など個人差が目立つようになってきたそうです。そんな中で、教師は「幼児一人一人の特性に応じた、発達の課題に即した関わりをもつためには、教師の細やかな配慮が必要になってきていることを痛感している」と、冒頭で話していらっしゃいました。
しかし、「発達課題とは、その時期の多くの幼児が示す発達の姿に合わせて設定される課題のことではない。幼児一人ひとりの発達の姿を見つめることにより見出されるそれぞれの課題である」と、幼稚園教育要領に立ち返り、フリーの立場からクラス担任のサポートをしてきたそうです。研究会には、クラス担任も駆けつけて下さり、具体的な実践報告もしていただきました。
食事や排せつの自立に向けての取り組みの中では、一時期、「教師が子どもに期待を込めすぎて、子ども自身が本当に心を開いて園に来てくれているのだろうか」と、随分悩んだこともあったそうです。そんな時も、自分たちの悩みを共有し合い、他のクラスの教師にもその悩みをどんどんぶつけながら、園全体で考え合い、子どもの育ちを見守っていったそうです。
今でも心に残っているのは、「とにかく原点に戻ろう」という園長の言葉だそうです。はじめは、その言葉に「えっ?せっかくここまで排泄の自立も進んできたのに、原点に戻るの??」と驚いたそうですが、話し合いを進めていくうちに「まずは、子ども自身が安心して園に通って遊べることを保障しよう」という思いなったそうです。と同時に、これまでの「こうしなければならない!」という焦りから自分自身が解き放たれ、心から子どもと遊びや生活を楽しむことができるようになったそうです。
クラス担任も、時には「一対一でしっかりと関わりたいから」と、クラス運営を一時的にサポート役の教師とバトンタッチして、子どもと思いっきり遊び、その子の思いを受け止めていったそうです。通常、附属幼稚園ではクラス担任は一人ですが、特別支援の担当者も補助教員として配置されています。その体制をうまく活用しながら、互いに協力・連携し、時には担任が一対一でその子にたっぷり関わりながら、子どもの内面世界を知ることも重要ではないか、それがまた、クラス全体の集団づくりにも生かされてくるのではないか、今回の報告を伺いながらそう思いました。
さらに、保護者に対しても毎回、丁寧に状況を説明しながら、一緒に子育てをしていくスタンスで思いを受け止めてきたそうです。幼稚園教諭になって3年目の担任は、「こんな伝え方をしたら保護者はどう思うだろうか?」「まだまだ、保護者と信頼関係ができていないな~。どうしたらよいだろうか?」と、日々、考えることが多かったようです。そんな時、サポート役の教師に意見を求めたり、他のクラスの教師にも尋ねるなど、常に積極的に「自分を開く」ことを行っていったそうです。今回報告していただいた教師も、そのような担任の直向きな姿勢をみて、「学ぶことが多かった」と振り返っていました。
子どもと教師の信頼関係はもちろんのこと、教師間での協力・連携や見守り・励まし、学び合うこと、そして園全体として保護者(家庭)を受け止める体制、この3つがうまく連動していくとによって、子どもも親もありのままの自分を出しながら自らの課題に向かっていける意欲や力が生まれてくるのではないでしょうか。
私たちは、どの子にも「かけがえのないたった一人のその子」そのものをしっかりとみつめて理解し、共に学び、育っていきたいものです。今回も、とても大切なことを学ばせてもらいました。ありがとうございました!
次回の乳児保育研究会は、今年度最後になります。
子どもの心と体を解放するリズム運動(あそび)について外部講師をお招きします。ご都合のつかれる方は是非、ご参加下さい!
とき:2016年3月2日(水)14:00~16:00
場所:尚絅大学楡木キャンバス尚絅幼稚園 遊戯室
講師:富田英代氏(熊本医療センター二の丸保育園園長)
服装・持ち物等:動きやすい服装、タオル、飲み物