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【尚絅子育て研究センター】報告:第4回乳児保育研究会(テーマ『担当制保育と流れる日課について』)を開催しました!

9月9日

 今回の研究会では、『担当制保育と流れる日課について』というテーマで、小規模保育事業「はっぴいの園」代表の佐藤レイ子さんに実践報告をしていただきました。佐藤さんは、40年以上前に保育園で乳児保育を担当するに当たり、一人ひとりと愛着関係を結べる「担当制保育」にあこがれ、他の園の保育者と共に学習と実践を重ねてきた方です。とにかく一斉的に行う保育、0,1,2歳が混合で保育されていた時代に、「これで子ども一人ひとりがほんとうに育つのか?」「子どもたちは不安ではないのだろうか?」という疑問をもったそうです。そして、様々な事例を出し合いながら仲間と実践を深めてきたそうです。

 佐藤さんが乳児保育で大切にしていることは、①食事や排せつ、睡眠などその子の生活のリズムに合わせながら保育者と子どもの1対1の愛着関係を丁寧につくっていくこと、②わらべうたなどを通したふれ合い遊びや外あそびをたくさん行うこと、③子どもの体の動きをよく観察し、寝返りからハイハイ、つかまり立ち、2足歩行までの過程を、急がせずに一つひとつしっかりと保障していき、必要な時には専門家のアドバイスももらいながら援助することだそうです。

 担当制保育は、その担当の子どもだけを保育するというわけではありませんが、全体の動きもみながら、できるだけ同じ保育者が関わることによって、子どもの不安を解消し、情緒の安定を促していく効果があります。そして、こどもたちは、担当の保育者との信頼関係を拠り所にしながら、他の友達への関心やことばの世界を広げているそうです。

 育者にとっても、子ども理解が深まり、要求を適切にとらえながら援助できるという利点があります。一方で、担当保育者が休暇など不在の時は、それだけ愛着関係ができていますから、他の保育者による子どもの対応が難しいこともあります。ですから、フリーで動ける保育者を配置して、日頃からコミュニケーションを図りながらその隙間を埋めていく役割も必要となります。また、日頃から職員同士が連携を取っておくことも大切です。自分だけがこの子のことを一番知っているではなく、互いに気づいた事柄を率直に話し合い共有できる職員の関係づくりも「カギ」になります。

 研究会のメンバーからは、食事や排せつ、保育の進め方、保護者と一緒に育てることなど、様々な意見が交わされました。今、0,1,2歳児の待機児問題が広がっていますが、改めて「乳幼児にとって安心できる落ち着いた雰囲気や環境を整えるにはどうしたらよいか」という保育の質にかかわる課題を、私たちに投げかけてもらった研究会でした。

 次回は、10月28日(水)14時~、テーマ『発達の凸凹から豊かな育ちへ』です。

尚絅子育て研究センター長 増淵千保美

 

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