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【尚絅子育て研究センター】報告:講演会「集まれ!みんなで支える地域型保育」

11月15日(日)

 熊本県地域型保育事業連絡協議会と尚絅子育て研究センターのコラボで、家庭的保育室や小規模保育事業に携わる保育者の皆さんと研修会を行いました。講演では、『子どもとのかかわりから見える個育てコミュニケーション』について、smile-music・space♪代表で個育てコーチをしている西城あやさんにお話していただきました。

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 西城さんは、シングルマザーとして仕事と子育てに奮闘していた時、コーチングに出会ったそうです。そして、音楽教室で出合う子どもたちの集中力、脱力、コントロール、運動能力の低下が年々気になるようになり、コーチングの講座で学んだことを活かして、子どもたちの本来の力を引き出しながら関わりを深めていったそうです。

 そのコーチングの基本として、西城さんは以下のような3本柱をあげていました。

1.相手の話をしっかりと聴く(何かをしながら聞くのではななく、しっかり向き合って聴く

2.相手の存在を認める(子どもの名前を呼んで挨拶したり、伝えたりする)

3.相手に質問する(指示・命令言葉ではなく、自分で脳のアンテナ機能をフル活用して考えられるように質問型で対話する)

 これらのことを「傾聴あいうえお」の合言葉―「あい」コンタクト、「う」なずき、「え」がおで、「お」ウム返し(相手の言葉をもう一度繰り返して言ってあげる)―で、実行していくと、子どもへのメッセージがより伝わりやすいそうです。そして、ご自身の人生経験や東北大震災の被災経験から、私たちが子育てで目指すゴールは「○○ができる」という評価ではなく、その子が「生きていること自体が価値あること」、「自分のことを好きになれることがとても大切である」ということを強調していました。

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 また、子どもの成長の3段階として、乳幼児期、学童期、思春期に分けて、関わり方の変化についても教えていただきました。

1.乳幼児期は、「ヘルプ」の時期で、親や保育者によって子どもの要求が実現できるようにすることやスキンシップをたくさん行って愛情ホルモンをたっぷり放出させ、自己肯定感を育てていくといった人間形成のもっとも重要な土台の時期。

2.学童期は、「サポート」の時期で、ちょっと難しいところを一緒にサポートしながら、やがて子どもが自分でしようとする力を育てていく時期。

3.思春期は、「本気」の時期で、子どもと体当たりしながらでも「あなたの命は何よりも尊い」ということを伝えていく時期。

 この3つの中でも、土台となる乳幼児期には、子どもたちが心身ともにめざましく成長していきます。その時に、自然の中でしっかりと全身を使って遊び込むことが、その経験をもとに学習する能力にもつながっていくことを改めて学びました。それは、「食べる」という営みにも共通しており、西城さんは、「最近では、大人がきれいに遊ばせよう。きれいに食べさせようとして、子どもたちが泥だらけになって自分で遊びをつくり出していくことや、自分の力で食べようとする意欲を奪っているような気がする」とおっしゃっていました。一番大切な時期の子どもたちに携わっている保育者にとって、今回の講演は明日からの保育の原動力につながっていくような気がしました。週に一度の休みの中でも皆さんとても熱心に学んでいらっしゃる姿がとても印象的でした。本当にありがとうございました!!

尚絅子育て研究センター長
増淵千保美

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