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お知らせ 幼児教育学科

【幼児教育学科】ピーク制:増淵ゼミ 「主体的に遊びくらし、科学する子どもたち」

5月1日(金)

増淵ゼミの活動を報告します。ゼミの学生7人と山都町にある公立浜町保育園に伺いました。この保育園は、毎年、増淵ゼミの学生が矢部の有機農業に取り組んでいる「心の会」(事務局:坂本幸誠さん)の田植え・稲刈り交流会でご一緒させていただいている保育園です。いつも、たくましく、草花や虫、カエルなどの生き物たちと遊び、キラキラと輝いている子どもたちの姿を目にし、一体どんな保育をされているのだろうか?一度、学生と保育を体験してみたいとずっと思っていました。

子どもたちは、自然に囲まれた環境の中で、毎日野山を散歩し、季節の草花や虫たちと全身で対話しながら、道なき道を開拓し、しっかり遊びこんでいるそうです。当日は、矢部同和保育園の子どもたちとも合流して、学生も一緒に園庭で遊びました。保育士の先生と子どもたちがつくったお手製の池でダイビング?!したり、板で渡した橋を揺らして波をたてて遊んだり、もうドロドロ、ビショビショになりながらダイナミックに遊びこむ子どもたちの瞳は、本当に美しかったです。

さらに、土のたっぷり入った砂場に水路をつくるために、何人かの子どもたちが力を合わせて土を掘りすすめていきます。学生なんかよりも、ずっと力強く手馴れた手つきでシャベルを操る子どもたち。何度も砂山の土がなだれを起こし、水路が埋まることも・・・。それでも、最後まであきらめずに黙々と掘る子どももいました。このような遊びの中に、集中して何かを成し遂げることの気持ちよさや、一人ではできないことも仲間と協力すれば可能になるという経験、そして水はどのようにしたら流れていくのか?という「ふしぎ心」や「科学する芽」がたくさんつまっています。

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満足いくまで遊びきった子どもたちは、遊びを終えるのもちゃんと自分で区切りをつけることができ、さわやかに片付けていきます。矢部同和保育園の子どもたちと、「また遊ぼうね!」と別れた後は、楽しいお昼ごはん。2歳から5歳の異年齢13人のメンバーの中で、大きい子どもはもう自分の役割を心得ており、テキパキとお昼ごはんの準備をしたり、年下のお友だちに声をかけてあげたり、そして小さい人はお兄ちゃん、お姉ちゃんの動きを憧れのまなざしでよく見ています。学生も仲間に入れてもらい、一緒に味わった給食は、地元の野菜をたっぷり使い、しっかりダシをとった薄目の味つけで、心までほっこりするおいしさでした。給食の先生も、保育士同様に子どもの育ちをよく見ておられ、豊かな食の経験をさせてあげたいと日々、研究を重ねており、時にはお散歩で収穫してきた山菜を給食のメニューの一品に加えて、子どもたちの思いに応えてくれることもあるそうです。

子どもたちの午睡の時間には、再び矢部同和保育園の先生方も来て下さり、浜町保育園の先生方と共に、これまで山都町の公立保育園で大切にしてきた保育についてお話を聴かせていただきました。そこでは、子どもと子どもの家庭にまで思いを馳せる「くらし」を大切にした保育、手作りの給食やおやつ(軽食)など「食」へのこだわり、そして「労働」の喜び(畑活動など)や「遊びの中から科学する心」を育てる保育について、その取り組みを教えていただきました。どの柱にも、「子どもを主体においた」視点が盛り込まれており、学生たちはこれまで学んできた保育の考え方を実践者のことばを通して、再確認できたようです。「子どもの育ちにとって、遊びの大切を改めて学びました。」「保育者のかかわり方によって子どもの成長が変わっていくことがわかりました。」「その子が感じたことを自分なりにのびのびと取り組ませてもらえているように思いました。」など、学生たちも学ぶことが多かったようです。

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保育士の先生からは、「子どもの声をどれだけ聴けるかが大切です。そして常に子どもの様子をみながら実践を振り返り、子ども自身に気づかせるように、まるで子ども自身が自分で「できたんだ」と思わせるように、事前の下ごしらえをしながら、ちゃんと意図をもって保育をしています。」とお話いただきました。また、「一人の子どものことをどれだけ語れるか、ということを常に意識しながら保育をしています。」という言葉は、私自身も同じ教育に携わる一人として心に残る一言でした。

子育て支援は、直接的な親への支援ばかりでなく、子どもの保育を通して行うこともできます。今回、体験学習させていただいた山都町の公立保育園の保育もまさにその一つです。5月30日(土)には、いよいよ「心の会」の田植え交流会で、浜町保育園、さらに熊本市内のひまわり保育園の子どもたちと保護者の方々にも出会えます。「いのち」のもとである食=農の営みに触れながら、子どもたち、親子、親同士が対話・協力して苗を植えていくという取り組みを通じて、大人も子どももみんながつながっていく保育(行事)について、私たちゼミのメンバーも学ばせてもらう予定です。それまでに、大学でもしっかり学び、振り返り、対話していきたいと思います。

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熊本日日新聞
平成27年5月4日
「砂場で一緒に泥遊び」

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