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【尚絅子育て研究センター】報告:第8回「乳児保育研究会」を開催しました!~テーマ「保育とおむつなし育児」、報告者:坂田美和氏(家庭的保育室ぴちゅ代表)~

1月18日(月)

 今回、第8回 乳児保育研究会では、「保育とおむつなし育児」をテーマに、実際に家庭的保育室「ぴちゅ」で実践している「おむつなし育児アドバイザー」の坂田美和さんより、おむつなし育児の魅力とその実際について報告していただきました。

 「おむつなし育児」とは、実は珍しい、新しい育児法ではなく、昔から世界中で誰もがしていた育児だそうです。おむつをまったく使わない育児ではなく、できるだけおむつの外でおしっこやうんちをさせてあげるという育児法です。この「おむつなし育児」というネーミングは、津田塾大学の三砂ちづる先生の研究から生まれた言葉です。坂田さん自身が、この「おむつなし育児」に出会ったのは、第2子が生まれて3~4ヵ月の頃だったそうです。「生まれて間もない赤ちゃんがおまるでおしっこやうんちをすることに衝撃を受けました。それは、トイレやおまるは1歳頃かな~と勝手に思い込んでいたからです。」と、坂田さんは当時の自分を振り返っていました。確かに、保育現場でもトイレトレーニングなるものは、その時期から徐々にはじめるのが一般的かもしれませんね。

そして、坂田さんは、「このようなおむつなし育児との出会いで、その意義は、排泄をコントロールすることが目的ではなく、より良いコミュニケーションをとることだ」ということを深く知るきっかけになったそうです。つまり、「おむつなし育児」は、「目標や結果を出したり、成功や失敗と、がんばるトレーニングではなく、いわば親や大人の感受性のトレーニング」なのだそうです!「快眠、快食、快便・・・ただそれだけに寄り添うこと。せめて、生まれてきてわずか数年くらいは(人生のはじまりの何年か・・・)ぼんやりとした時間、おっぱい(ミルク・食事)と排泄だけに大人が気を配っている時間は、必要ではないでしょうか」。そう語る坂田さんのお話をお聴きし、これこそ乳児保育にとって忘れてはならない大切な視点だと思いました。

昔は、軒先で親が家事や仕事をしている傍らで、幼き子らはぼんやりとその姿を眺めたり、まわりのものとたわむれて遊んでいた。そんな「軒遊び」の風景がどこにでもあったと言います。そんなゆるやかな時の流れをこそ、今の超多忙な時代だからこそ、乳幼児期にある子どもたちに保障してあげたいものです。

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数か月の赤ちゃんも、しっかりと体を支えてあげればちゃんと、オマルでできます!!坂田さんは、我が子を1か月からおむつなし育児!左から時計回りで、パンツタイプにもなるおむつ、携帯用オマル(100均のバケツ)、ホーローのオマル、ふんどし用布おむつ・ターバン、冷え防止レッグウォーマー、三砂ちづる著『おむつなし育児』

そんな奥の深い「おむつなし育児」のお話でしたが、もっとも大切なことは「赤ちゃんの気持ちに寄り添って、快適で自然な排泄を一回でも多くさせてあげること!」と、坂田さんは強調します。そして、「気持ちよかったね~。すっきりしたね~。」「ありがとう~」と、親や保育者が子どもと目と目を合わせて喜び合い、語りかけることによってコミュニケーションが豊かになってくるのです。

 最後に、「結果として、『おむつなし育児』で育つ赤ちゃんは、おむつは早く外れるし、気持ち悪いことも少ないのでいつも機嫌がいい。おむつという邪魔なものに運動を妨げられないから、身体の発達も順調になります。ただ、これらはあくまでも「ご褒美」であって、それを期待してやるのではないですよ。『今を満足すること』ただ、それだけに、泣いたり笑ったりして、ありのままの姿を表現している赤ちゃんの、その『今』を気持ちよく過ごさせてあげるためだけに、このおむつなし育児はするのです。」と、坂田さんはおっしゃっていました。そして、「その子の『ありのままを見る子育てや保育』は、私たち子育てする者の『ありのままの今の自分自身』を肯定することでもあると思う」という坂田さんの言葉から、子育てや保育は、親や保育者の生き方にもつながっているということを学びました。

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ホーローおまるは、臭いも残らず衛生的です。外出時は、プラスチックのバケツにビニールとティッシュを入れて使ってます。
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ゴムのターバンと布オムツで、簡単にふんどしのできあがり!すぐに取り外しができて便利です。

  お話を聞けば聴くほど、「おむつなし育児」は奥が深~い。乳児保育のあり方を改めて考えるよい機会になしました。この続きは、次年度号の『児やらい』でお伝えします!ぜひ、お楽しみに!!

次回の乳児保育研究会は、2月3日14時~16時、楡木キャンパス短大2号館雑誌閲覧室

テーマ「3歳児の1年間の成長を振り返って」(仮)です。

参加者希望の方は、楡の木キャンパス代表096-338-8840までご連絡下さい。

尚絅子育て研究センター長

増淵千保美

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