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【尚絅子育て研究センター】第3回乳児保育研究会を開催しました! テーマ『食事について①』

2017年6月21日(水)

 第3回乳児保育研究会を開催しました。今回のテーマは「食事」についてです。今回は「カトレア保育園」「津久礼ヶ丘保育園」の両園に、日々の実践と子ども達の姿について報告していただきました。

 まず始めに、カトレア保育園より0歳児クラスで野菜など苦手なものを食べようとしなかったり、咀嚼が上手くいかなかったりする子どもへの対応についてお話をしてもらいました。報告者の梅田先生は、遊びや生活の様子、保育者や友達との関係性をみても特別に課題があるようには思えないけれど、なぜか食事になるとスムーズにいかない子どもの姿に悩まれていました。しかし、子どもをよく観察する中で、新しいものや初めてのものに対する警戒心の強さや感覚の過敏さに気付き、無理強いはしないようにしているとのことでした。

 メンバーからは、「例えばハイハイで、一見して問題ないような子どもでも、重心の掛け方などにバランスの悪さが見られる場合がある。両手でしっかりと体を支えたハイハイ運動の質を見極めることが重要。」「乳児はおもちゃ等を嘗め回すことで物の存在を確認している。家庭で物を口に入れることを過度にやめさせたりすると、口の中の感覚の発達が遅いこともある。」など、具体的なアドバイスも聞かれました。

 また、そうした子どもの保護者に対するかかわり方についても話題になりました。言うまでもありませんが、乳幼児の生活は家庭と保育園とで分断されることなく、24時間の視点をもちながら生活リズムを整えたり安定感をもったりすることができるような配慮が求められます。メンバーからも「まずは家庭と保育所の食事の場面の様子を互いに伝え合うことが大切。」「子どもが食の時間を安心して過ごすことができるよう、家庭での様子を環境づくりに取り入れたり、保護者と相談しながら食事の時間に一緒にいてもらったりする等の工夫することが必要ではないか。」との意見が出されました。最後に梅田先生は、「園で子どものアレルギーを把握するためにカードを作っているが、把握目的だけではなく,そのようなカードを活用しながら保護者との情報交換を積極的にしていきたい。」と振り返っていました。

 次に、津久礼ヶ丘保育園の石黒先生から、同じく0歳児クラスの子どもについて報告をしていただきました。

 クラスの中に、職員同士でも「これまで出会ったことがないね…」と心配になるほど1日中泣き続けている子どもがいるそうです。その子は、まだ途中入園したばかりで慣らし保育中ということで、石黒先生も、園に慣れるのが先で、信頼関係を築いたり、子どものペースを尊重したりすることが大切と理解はしているものの、食事ができないほど泣くので心配だと話されていました。そのため、今は少しでも食事の時間が楽しく落ち着いたものとなるよう環境づくりを工夫されているとのことでした。

 メンバーからも「やっぱり園生活に安心感をもてるようにすることが先決だと思う。」という声が多く聞かれました。それと同時に、子どもが泣くことの意味について保育者が肯定的に受け止めることが大切という意見も出されました。幼い子ども達が保育園に通い始めるということは、母親と1対1の心地のよい家庭という世界から、知らない友達や大人がたくさんの保育園という未知の世界に身を置くという体験をするということでもあります。ですから、まずはそうした不安や寂しさを感じている姿を受け止めることが大切でしょう。保育者は泣きの意味について思いを寄せながらも、子どもの涙の中に、成長している姿、伸びようとする力を見出し、乗り越えることを期待しながら温かいまなざしを送ること、それが保育者と子どもの信頼関係に繋がっていくと考えられます。

 また、他にも「核となる先生がその子どもと十分にかかわる時間を保障できるよう、職員間で話し合って時間と人数の組み方を変更してはどうか。」「ずっと泣いている状態というのは、多くの酸素が血中に取り込まれており、結果として神経や筋肉が興奮・緊張している状態。この状態はお腹が空きにくく、また泣いているので抱っこをすると運動不足になりがち。マッサージなどを取り入れてみてはどうか。」というような具体的なアドバイスも出されました。石黒先生も、「今日お聞きしたことを保育園に帰って実践してみたい。」と話されていました。

 2つの園の先生方の報告とメンバーの活発な意見交換を通して、やはり「食」の充実と「体」の育ちは密接に関係しているということを再確認しました。傾向としてですが、咀嚼が弱かったり食べる量が少なかったりする子どもの体を触ってみると、筋肉が十分に育っていないことがあるようです。日々の園生活の中で、食と体のつながりを意識しながら、発達に相応しい運動遊びを取り入れることの大切さを実感しました。十分に体を動かすことの楽しさと気持ち良さを味わう。そして、たくさんお腹を空かせ、和やかな雰囲気での中で保育者と一緒に食べることを楽しむ…というような心地よい循環を保育の中でデザインしていくために学びの多い研究会になりました。次回の研究会も引き続き「食事について②」をテーマに考え合いたいと思います。

(文責:二子石)

 【次回お知らせ】
 7月26日(水)14~16時
尚絅大学武蔵ヶ丘キャンパス 管理棟2階 尚絅子育て研究センター室にて
お問い合わせ先:096-338-8840
 メール:kosodate@shokei-gakuen.ac.jp
 担当:増淵

今回も30名以上のみなさんがご参加下さいました!
報告者の先生方、ご準備ありがとうございました!
各園での実践から多くのヒントをいただきました!
実践をもとに考え合うことで保育の質が高まります。

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