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【尚絅子育て研究センター】COC+「安心して働きながら子育てできる熊本プロジェクト」報告

「安心して働きながら子育てできる環境づくり」の一環として、保育者の早期離職予防についての実態調査の結果をもとに、新任保育者に求められる知識・技術・態度、研修、勤務環境の実態について分析を行った。また、熊本県内で本学卒業生の早期離職が少なかった10施設に対するインタビュー調査の結果から、新任保育者への研修、相談体制や対応、新任保育者に必要な知識や技術について分析を行った。これらの分析結果を踏まえ、離職した当事者からの聴き取りも行った。具体的には、平成26年度に尚絅大学短期大学部幼児教育学科を卒業し、新任一年目で保育職を離職した7名に対してインタビュー調査を行った。調査の内容は、離職時期、経緯、新任保育者を育成する仕組みや保育環境、離職した理由や経緯についてである。以上の取り組みを踏まえて行政・保育施設・養成校の協働した保育環境の質保証に向けての取り組みをすすめていくために、平成29年3月19日に「新任保育者の成長に向けた環境づくり」についての講演会・セッションを開催した。

具体的な成果として、施設管理者側に対する調査結果の分析では、労働環境、保育内容、職員研修の体制が課題としてあげられ、熊本県内の保育施設の新任保育者育成の現状と課題を明らかにすることができた。また、離職の少ない保育施設に対するインタビューでは、各園で独自に行っている新任保育者の育成の取り組みや姿勢・心構えについての共通項を把握することができ、今後の新任保育者育成にむけての課題が明らかになった。さらに、離職者インタビューでは、当事者が語る離職要因から、「勤務環境」「子どもへの対応を含む保育観の違い」「職場の人間関係」「相談体制」「施設内の新任保育者への研修体制」「新任保育者理解」「自信喪失」「就職活動の不十分さ(ミスマッチ)」「職場の意志決定の仕組み」など、今後の離職予防の課題を明らかにすることができた。これらの成果を報告した講演会では、113名(73施設)の参加があり、本プロジェクトへの理解を広げることができた。

調査を実施し、その結果分析を踏まえて研究成果を広く保育関係者に報告することにより、保育施設における「安心して働きながら子育てできる環境づくり」の一環としての早期離職予防に対する理解が深まった。参加者アンケートでは、「貴学のこの課題に対する取り組みが具体的によう理解でき、非常に心強く感じた」という感想もいただき、年度当初、協力・連携園として登録していただいた園に加えて、新たに10ヶ所以上の研究協力の申し出を得ることができた。

また、講演会では、大阪府豊中市にあるせんりひじりこども園の副園長、学年主任、3歳児クラス担任から実践を交えた講話をいただき、その内容を踏まえてセッションを設けたことにより、それぞれの参加者がより具体的・実践的な課題を各職場に持ち帰ることができ、有意義な会となった。参加者アンケートでは、「新人のみならず、中途採用者などの就業意識の向上など悩んでいる時なので、実践できることもあり、大変参考になった。」「他園の取り組みや色々な先生方の悩みや意見、話を聴くことができとてもよかった」などの意見が多数あり、今後、保育施設と養成校とが連携した新任保育者の早期離職予防モデルの構築に繋がる効果を得ることができた。

尚絅子育て研究センター
増淵千保美

本プロジェクト研究の報告
講師:せんりひじりこども園の先生方
せんりひじりこども園副園長先生
100名以上の参加がありました。
講演の後は活発な質問も頂きました。
セッションでは意見交換を行いました。

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