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【尚絅子育て研究センター】第5回乳児保育研究会を開催しました!~テーマ『0歳児保育の悩み・課題』~

 残暑がまだまだ厳しいですね。みな様、酷暑の中、お元気でお過ごしでしょうか?

 さて、8月18日(木)に第5回乳児保育研究会を開催しました。今回は、あゆみ保育園の水本有紀さんから、「午睡時間の個人差への対応」、「離乳食の移行」、「0歳児の事例から」という3つテーマで報告いただきました。

 あゆみ保育園では、「一斉にという思いではなく、一人ひとりの生活リズムになるべく合せて関わり、対応したいとの思い」で保育を行っているそうです。しかし、環境も含め、現状として難しさも抱えています。まず、「午睡時間の個人差への対応」については、午前睡をする低月齢の子どもたちと午後1回の午睡の子どもたちの生活リズムが違うため、大人の対応も時として、難しくなる面があります。とくに、昼食後の午睡時間は、親との連絡帳を書いたり、子どもの記録を書く時間にあてている園が多いと思いますが、それもままならない時もあります。

 他のメンバーの園では、子どもの生活の24時間を気持ちの良いものにしていくために、家庭での就寝・起床時間についても保護者によく伝え、協力を仰いでいるそうです。すると、だいたい同じ時間帯に眠り、目覚めるリズムが、0歳児の段階からでも十分に保障できるとのことです。保護者には、「子どもが成長・発達するためには、まず第一に寝ることが大切」ということを、「発達段階に応じた対応を理論的にわかりやすく丁寧に伝える」ことで、理解を得ているそうです。その際、子どもを中心に考えることは、どの事柄においても基本でしょう。また、周りの大きいお友達にも、「今、赤ちゃんが眠るからね」と伝えると、静かにしてあげようと振る舞ってくれるそうです。毎日の生活の中で、誰にとっても心地よい環境が、保育者と子どもとの間でつくられているのです。

 次に「離乳食の移行」については、家庭との連携がもっとも必要な場面ですが、なかなか進まないという子どもさんも最近は増えてきているようです。保護者の中には、「自然に食べられるようになる」というイメージがあるからか、あまり発達段階に応じた離乳食について気にしていない方もいらっしゃるようです。この悩みについて、「今は、保育園が家庭状況を把握しながら、離乳食についてもリードしていく必要がある」、「保育者は、子どものことについてのプロだから、科学的な根拠を示しながら保護者に伝えていくことが大切」という意見が出されました。ある園では、離乳食は月齢が目安になるが、子ども一人ひとりの下の動きや咀嚼の発達に応じて進めていくもので、その発達を促していくためには、腕と顎の体の発達も関連していることを伝えたり、咀嚼が上手く進んでいくと言葉の発達にもつながり、脳にも刺激が伝わることを話していくと、保護者もよく理解し納得してくれるそうです。「私たち保育者は、まだ言葉で十分に伝えられない子どもたちの代弁者でなければならない」というメンバーの言葉も心に沁みました。大きくなろうとしている子どもたちの傍らにいる保育者は、その発達要求を親の子育てにつなげていく保育を行うことも、今日の保育の課題として非常に重要なことではないでしょうか。

 さらに2人の子どもの事例も紹介していただきました。母と子の関係をどのように橋渡ししていけばよいのかという事例や、月齢の早い段階から発達段階にそぐわないお座りを先にさせられていたため、9か月になってもうつ伏せやハイハイができない事例など、理学的な観点や各園の乳児保育の実践からそれらの事例に対する手立てを考え合いました。具体的な事例を通して、保育の悩みを出し合うことによって、一人ひとりの発達を振り返り、支援の方向性を見出すことができます。そのことが、保育の質の向上にもつながってくのではないでしょうか。

 メンバーからは、「細かいところをしっかりと見ていく視点の大切さ」、「自分たちの価値観だけで物事を判断しないこと」、「日々、子どもから学ぶことによって、サポートの仕方は見えてくる」、「みんなで、一人の子どものことを話し合い、理解していくこと」など、改めて気づかされる貴重な発言もたくさんありました。来月も、また皆さんと学び合えるのが楽しみです。どうぞ、ご参加お待ちしております!(文責:増淵千保美)

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報告者の水本先生(右)と佐藤先生(左)実践に裏づけられた意見がたくさん!
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ありがとう!目と目を合せて表情で対話も大事。

事例検討では、具体的な手だてについて、理学療法士の山野井さんから、ご自身のお子さんの実演つきで解説して下さいました。

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