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【尚絅子育て研究センター】第3回乳児保育研究会を開催しました! ~テーマ『0歳児保育の悩み』~

 梅雨の季節に入りました。最近、大雨が続き、土砂災害など新たな被害も加わり、皆様には一日も早く落ち着いた暮らしがもどってきますようにと祈るばかりです。

 さて、6月16日(木)に行った第3回乳児保育研究会においても、20人以上のメンバーが集まり、園によっては複数でご参加いただいたところもありました。本当にお忙しい中をありがとうございました!

 今回は、さくらんぼ保育園の徳永絢子さんから、『0歳児保育の悩み』というテーマでご報告いただきました。徳永さんは、保育歴8年目にしてはじめて、今年度0歳児を担当したそうです。さくらんぼ保育園では、2年前より1歳児から5歳児までの異年齢保育をはじめ、小さい子も大きい子も一緒に暮らし合う保育を経験し、年齢別保育とはまた違った子どもの姿や保育のあり方を模索してこられました。そして、初めての0歳児はまた別の意味で新たな発見があり、赤ちゃんの世界の面白さも一杯感じているそうです。その中で、今回は「ここはどうしたらよいのだろうか?」と日々、保育している中で考えていることを率直に出していただきました。

 まず一つ目はクラスについてです。現在、さくらんぼ保育園には、10名の0歳児の子どもたちが生活しています。4・5・6月生まれの高月齢の子どもたちが多いので、食事や午睡は、一人ひとりの生活時間に合わせて前半と後半の5人ずつにわけ、ゆるやかに担当制をとっているそうです。この担当制保育の魅力も感じながら、子どもとの相性や新人保育者のサポートなどもあるため、ご飯、午睡、着替え、排泄、活動、連絡帳…と、どこまで担当が把握して保育を行っていくべきか?「みなさんの園の様子も知りたい」ということで、実際に取り組んでいるメンバーに意見を聴かせていただきました。

 とくに認可の保育園では、0歳児の人数が多く、保育者との愛着形成や信頼関係をしっかりとつくるために、食事や睡眠、排せつなどの生活場面では担当制をとり、遊びの場面では担当者から別の保育者へと広がりを持たせているそうです。小規模な保育園では、2人で連携しながら子どもの素敵な育ちをお互いに報告し、喜びを分かち合いながら連絡帳も交替で書いているそうです。担当制をとっている園でも、「フリーの保育者がいるので、自分一人で抱え込むのではなく、できない時は『お願い!』と頼れる関係がある」とのことで、連携していく大切さは共通していました。

 いずれの園も、子ども一人ひとりの育ちとその子の内面世界をどれだけ理解し、保護者と子育てを共有していけるか。そのための保育の方法を模索しながら、その時のベストを尽くしているようです。さくらんぼ保育園では、昨年度28名の0歳児を受け入れたそうです。今年度は、園としても赤ちゃんの生活環境を保障するために、何とか20名までにとどめたいと考えていらっしゃるそうですが、待機児問題がまだまだ解消されない中で、0歳児の保育環境は非常に厳しい状況にあることを痛感しました。

こうした状況の中で、担当制保育を行うことは、子どもたちにとって親の次に拠りどころとなる関係をつくることにもつながります。また、保育者同士の連携において、「絶対に自分だけでこの子たちを見なければならない」という緊張関係ではなく、お互いにその子の育ちを共有しながら協力し合っていくことは、ベテランも新人もみな変わりありません。ある新人の保育者は、「自分で考えて保育ができるから楽しい」と語ってくれました。そんな保育者同士が仲良く楽しく保育をしている環境は、「子どもたちも安心して母港から大海へ冒険していける」環境につながっていくのだと、研究会でも確認し合いました。

二つ目は、保育室の環境づくりです。ワンフロアで食事も睡眠も遊びも行っているため、子どもたちの生活リズムに合わせながら、どのように0歳児の部屋の工夫をしていけばいいのか、実際の見取り図を見ながら皆さんと考え合いました(図1)。その中で、「着替えの棚は、子どもたちが遊びながらおしっこがでたら、すぐに換えられるような環境がよいのではないか?0歳児でも自分のパンツを取りに来る子もいるので、子どもたちの視界に入る環境も必要ではないか。」という意見がありました。一方で、「着替える部屋を区切るのは、子どもと一対一でゆっくりと関われるスペースとして考えているから」という意見もありました。徳永さんからは、「外遊びで泥んこになって帰って来た時に、シャワーを浴びてスムーズに着替えができる動線もつくりたかった」というお話もいただきました。0歳児の保育で何を大切にしたいのか、子どものより良い発達を考えながら、常に保育者同士が話し合いながら環境をつくっていくことが一番大切なことだと感じました。

20160630-kosodate-3  図1保育室の環境づくり

 最後に今、徳永さんが関わっている子どもたちの事例を紹介していただき、ハイハイをしないことや、ハイハイをしても左右の足のバランスがよくないことなど、体の育ちの面で気になることを出していただきました。メンバーからのさまざまなアイデアやアドバイスが出てくる中で、このような子どもの発達を見るとき、園での様子だけでなく、「家庭訪問をして家での生活の様子を見ると、さらにその子の育ちの背景にあるものがわかる」という意見もありました。その園では、「子どもが子ども集団の中で心地よく過ごせるために必要なこと」として、家庭訪問をとても大切にしているそうです。本当に各園の取り組みの中には、それぞれに学ぶべき点がたくさんあり、こうした実践にもとづく乳児保育の研究を深めていくことが、子どもの豊かな育ちにもつながっていくのだと実感しました。来月からは、附属こども園の子育て支援室で膝を突き合わせながら、子どもたちの生活の様子も見ていただきながら、この研究会をすすめていきたいと思います。皆様のご参加をお待ちしております!!(文責:増淵千保美)

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報告者の徳永絢子さん

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活発な意見交換が行われました。

次回の研究会のご案内 

2016年7月28日(木)14:00~16:00、
テーマ『0歳児保育の課題』(報告:ことな保育園)

 場所:附属尚絅こども園保育棟 子育て支援室「どんぐりルーム」にて行います!
 (尚絅大学武蔵ヶ丘キャンパス正門上がって守衛室を左手に坂を上ったところです。)

連絡先:096-273-6630(担当:増淵)、メール:masubu@shokei-gakuen.ac.jp

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