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【尚絅子育て研究センター】第2回 乳児保育研究会を開催しました! ~0歳児の実践報告―体と心のバランス~

 第1回の乳児保育研究会(2016年4月14日)の夜に熊本地震発生。あれから1ヶ月が経ちました。再び研究会のメンバーとお会いできて、本当に嬉しい気持ちで一杯になりました。参加した皆さんとお話をしていると、この間のことが走馬燈のようによみがえります。それぞれにご自身も被災しながら、自分たちの職場で、地域の避難所で保育を続け、何とか子どもと親の生活を守って下さいました。心から感謝申し上げます。

 今回(5月19日)、報告して下さった熊本医療センター二の丸保育園元園長の相澤幸代さんもその一人です。とくに、ドクターや看護師など医療従事者の子どもさんたちを保育している院内保育所ですから、このような緊急事態では職務上、夜間に呼び出しがあり、子どもを置いて出なければならない家庭もあったそうです。そんな子どもさんを保育園で預かり、一緒に寝泊りしながら、この間、一日も休むことなく保育を続けてきたそうです。改めて、人は人の中で守られ、育てられていくものだと確信しました。

 さて、今回のテーマ『0歳児の実践報告―体と心のバランス』では、乳児保育の実践について事例を交えて報告していただきました。二の丸保育園では、入所の1ヶ月前より母子通園を行い、その間に保育者と親子の信頼関係をつくりながら、入所時にはほとんど泣かない状態をつくりだすことをめざしています。また、お母さんにも子どもの発達を丁寧に伝え、マッサージやリズム運動を一緒に行っているそうです。そうするうちに、お母さん自身の子育ての不安も軽減していくようです。

 その中で、とくに親御さんに強調していることは、「どんなに幼い赤ちゃんでも、目と目を合わせるのが子育ての始まり。だから授乳中のスマホやテレビは、子どもの顔を見て、目を合わせるコミュニケーションの時間を奪ってしまうことになる。さらには、電磁波の影響も大きく、赤ちゃんの体の緊張を強めてしまうことにもなる」ということです。また、睡眠と食事は、子どもの主体性を尊重しながらも大人がリードしていき、その子が笑顔でいられるように生活のリズムをつくっていくことも大切です。子育ての基本の基を親御さんに伝える中で、相澤さんは常に「大丈夫、子どもが一番好きなのはお母さんだから、自信をもって!」とメッセージを送っているそうです。

 そして、入園後も子どもの体と心の発達の様子をつぶさにとらえ、年齢や月齢にとらわれずに、その子が現時点で到達している発達段階を手掛かりに、「その子なりの発達の段階をつくること、充実させることを心がけたい」と、相澤さんは毎日、マッサージとリズム運動(金魚運動、どんぐり:寝返り、足の交差を取る)を子どもと一緒に行いながら、目と目を合わせて、笑顔でたくさんふれ合いながら対話を続けてきたそうです。事例の子どもさんは、体の緊張がほぐれてくると心もほぐれ、「あのおもちゃであそびたい!」という意欲もどんどん出てきたそうです。その「遊びたい!」という気持ちを次のハイハイ運動(ワニ這い)へとつなげていけるよう、相澤さんはさらに手を伸ばせば取れるところにおもちゃを置き、子ども自らが手をしっかりと開いてハイハイをしていけるような環境も考え、一人ひとりの発達保障を実践していらっしゃいました。

 相澤さんは、「訓練のようにするのではない。目と目を合わせ、心を通わせることが大切」と言います。寝返り一つでも、それを大人と「楽しいね!」という気持ちを通わせて一緒にする中で、徐々に自分で自分の体を自由に立て直せるようになります。この力はやがて、子ども自身が自分で気持ちを立て直していく力にもつながっていくとおっしゃっていました。子どもたちは、体のバランスが整い、自分の思いのままに自由に動かせるようになると、心も解放されて「自分でやってみたい」という意欲も高まっていきます。私たち大人は、もっともっとこの小さな赤ちゃんの時代から、その大きな可能性の芽をしっかりと見つめ、育てていきたいと思いました。

 今回集まった18名の参加者の中からも、自分が担当している子どもの様子や悩みが出され、食事や睡眠、布オムツへのこだわり、保護者への伝え方など、いろいろな意見を交流させることができました。また、明日からの実践に活かせるヒントもたくさん得られたようです。改めて乳児保育は「奥が深い」と実感しました!それと共に、「あ~楽しかった!」と皆さんが帰り際に学び合い、話し合える喜びも語って下さいました。本当に次回の研究会も楽しみです。ありがとうございました!

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*次回の研究会のご案内*

テーマ:『0歳児保育の悩み』(報告:さくらんぼ保育園)

とき:2016年6月16日(木)14:00~16:00

場所:武蔵丘キャンパス2号館 雑誌閲覧室(菊陽町武蔵ヶ丘北2丁目8番1号)連絡先:096-273-6330(担当:増淵)

メール:masubu@shokei-gakue.ac.jp

ぜひ、お誘いあわせの上、ご参加下さい!!

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